#014 ('04/03/05)
倉庫の大掃除

当店は銀座の店舗から、ちょっと離れた所に倉庫兼駐車場を借りています。

その倉庫の中には里子に出され引き取り手のいなくなった銃や、部品取りをされてそのまま放置された可哀そうな銃がたくさん眠っています。中にはカビ、錆やホコリにまみれた、見るも無惨な銃もたくさんあります。私も入社以来 15 年の月日が経ちましたが、カビまみれの銃ケースを触るのが嫌で今まで必要以外まったく、手に取る事がありませんでした。

ところが私にも、 16 年目にしてようやく後輩ができました。その後輩に「倉庫にある、あの銃を探してきて!」と頼んでも   何処に在るのか、さっぱりわかりません」と言われ、今片付けなければまた 15 年はそのままになるのでは?と思い嫌々ながら倉庫の大掃除に取りかかる事を決心しました。

最初は倉庫の掃除は「 2 日もあれば終わるだろう。」と安易な考えでいましたが、とてもとても終わりません。四苦八苦していると、倉庫の大家さんが覗きに来て、「銀座銃砲さんが入ってから 35 年になるから掃除も大変でしょう」と笑みを浮かべていました。

35 年前といえば、私もまだ生を育みだしてまだ数年といったところです。もしかしてこのカビやホコリは、 35 年前からの物?と思うと、今でもゾッとします。結局後輩と二人でまる三日掛けましたが、結局終わりませんでした。残りはまた来年にチャレンジしてみたいと思います。

そんなこんなでお宝発見と行きたかったんですけど、出てくる物は時代遅れの SB アンシュッツ1407コンチネンタルや AR ファインベルクバウ 300S などばかり。それ以外にはエムツェーやヘイリンカン、ウエロッヒなどがありました。

これ以上カビが酷くならないようにカビの付いた銃ケースを処分したり、ケースに付いたカビを丁寧に拭き取ったり。また一丁ずつケースから出すとまた、銃もカビや錆だらけでした。さすがに錆の出た銃はもう使えませんので、ストックを外して機関部は廃棄処分です。もっと早く手を着けていればと思うと、少し悲しくなります。カビだけの銃は、一度ストックを外しカビを拭き取ります。そして機関部に錆止めの油を塗るとストック・機関部共に銃独特の艶が戻ってきます。特に昔の銃は、ストックもクルミの木を使っていますし機関部の仕上げは、今の銃とは比べ物にならない位よいので、研けば本当に艶がでてきます。銃の片付けをしながら、私は「今までホコリまみれになっていたけど、また新しいご主人様を見つけて活躍できればいいなあ」と思うと自然に笑みがこぼれてきました。そんな私の顔を見ていた後輩は「なんだか楽しそうですね!」と声をかけてきました。やっぱり銃が好きな人間は、きれいな銃を見ているのが好きですからね。

この大掃除をきっかけに、まだまだ現役で十分使用に耐えられそうな銃やストックをたくさん発見しました。先程も述べたように時代遅れの物ばかりですが、昔懐かしい物ばかりです。

ホームページの中古品に少しずつ掲載していきますので、もし興味を持たれたなら行き場の無くなった銃やストックの新しいオーナーになって下さい。

銃もきっと喜んでくれる事と思います。

 

 
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