IWAはドイツ南部・バイエルン州の第2の都市であるニュルンベルグで、毎年3月の第2金曜日から翌月曜日までの実に4日間も開催されているヨーロッパ最大のガンショーです。出店しているブース(店舗)はドイツ語圏(ドイツ・スイス・オーストリア)を中心に、世界各国から数多く出店しています。もちろん、日本からも数社ほど出店されています。
アメリカで(同じく毎年1月頃に)開催されているショット・ショーと大きく異なるのは会場内が禁煙でない事と、会場内のレストランでビールやワインが昼間から飲まれていることの2点です。
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RWS |
サワー |
レストラン内でなくとも、ドイツのブースに行くと「何か飲み物はいかがですか?ビールやワインもありますよ」と声をかけてくれます。我々日本人の常識から考えると「朝からビール !? 」と思うのですが、ドイツ人は本当に朝からビールを飲んでいます。彼らにとってビールはまさに水代わりの飲みモノのようです。ドイツのスーパーでは、水とビールがほぼ同じ価格帯で販売されています。逆にビールの方が安い場合もあるぐらいです!
今年のIWAは例年と少しばかり雰囲気が違っていたような気がします。というのは、会場初日に入場券を買うにも、レストランで昼食をとるにも … . いつも必ず長蛇の列があたりまえだったのですが、今年はとてもスムーズだったのです。あるドイツメーカーの話によると「海外からの来客数は変わらないが、ドイツ国内の来客数が非常に少ない」ということで、ドイツも不況に悩まされている現実をしばし垣間見たような気がしました。
そろそろ本題に入りましょう。IWA2004の新製品をメーカーごとに紹介していきます。
【ファインベルクバウ社】
昨年、モデル700を発表してから1年程しか経っていないので「今年は何もないのかな?」と思っていたのですが、さすがはファインベルクバウ。なかなか目立たない箇所で色々なモデルチェンジがありました。
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ファインベルクバウ Mod.2700 |
●スモールボアライフル《2700ALU》
《モデル2602》の後継種です。グリップから後方にエアライフル《モデル700》の部分を融合させたスタイルになっています。
機関部は《モデル2602》と同じですが、全体重量が軽めに仕上がっているのでφ22バレル付きならスポーツライフルとしても使用できるようです。
また、フォアエンドレーサーもラミネートからアルミに変更している他、ストックカラーがシルバーとブルーの2色になりました。
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Mod.2700 グリップ |
Mod.2700 フォアエンドレイサー |
●エアライフル《モデル700ALU》
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ファインベルクバウ Mod.700 シルバーアルミストック |
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ファインベルクバウ Mod.700 ジュニア アルミストック(左)
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ストックカラーに新色としてシルバーとブルーの2色が追加されました。ジュニアモデルもALUストック付きが追加されました。アブソーバー機能は付いていますが、アジャスタブルハイサイトブロックは付いていません。しかしオプションで載せることはできますのでご安心ください。
●エアライフル《モデル700ラミネート》
先述の《モデル700ALU》のジュニアモデル同様、アジャスタブルハイサイトブロックは付いていません。
《モデル700》発売後の現在に至っても、いまだに根強い人気のある《P−70》はランニングターゲットとフィールドターゲットを除いて全て生産中止となりましたが、まだ若干在庫があるそうです。詳細については当社にお問い合わせください。
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ファインベルクバウ Mod.P-40 |
●エアピストル《P−40》
機関部システムは《P−34》をそのまま踏襲しています。《P−34》についていたバレルケーシングを外し、銃口部に付くセパレーターとフロントサイトがモデルチェンジされています。
以前《P−40》について数名の方々からお問い合わせいただきました際、パーフォレートバレル(銃身の上部に穴が開いている銃身)ではないとお答えしておりましたが、現物にはちゃんと3箇所、穴があいておりました。この場を借りまして訂正とお詫びをさせていただきます。
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パーフォレートバレル |
グリップはモリーニ社製のアジャスタブルラミネートグリップが標準装備です。グリップサイズはXS/M/Lの3種類からお選びいただけます。
【アンシュッツ社】
皆様の期待を集めている《9003プレミアムエアーライフル》の現品が展示されていました。
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アンシュッツ 9003プレミアム |
●エアライフル《9003プレミアムエアーライフル》
設計・開発に6年、テストに2年、10名のトップシューターの ” お試し期間 ” に1年 … . まさにアンシュッツ社が満をじして発表した自信作です。
当初の仕様では、より衝撃吸収力の強タイプの Soft-Link®の標準使用を予定していたのですが、あまりにも効果が強すぎたため、急遽、効果の弱タイプの Soft-Link® を標準装備とし、強タイプの Soft-Link ®は付属部品としてツールボックスに入れて提供することになったそうです。ではどれぐらい「効果が強すぎた」というのかと申しますと、強タイプの Soft-Link® と新しく装備されたスタビライザーの組み合わせでノプテルを使用した場合、「ノプテルがまったく反応しないことがあった !! 」というレベル(完全無振動な状態)になるそうです。従来のエアライフル銃の発射感覚とあまりにも異なりすぎるため、トップシューター達も困惑したそうです。ですから、「まずは弱タイプの Soft-Link® で発射感覚を身体に慣らしてから、強タイプの Soft-Link® に切り替えて使って欲しい!」とアンシュッツ社のメカニックからアドバイスを頂きました。
《9003プレミアム》の詳細については、IWA後にアンシュッツ本社で『サービストレーニング』という技術者養成講座を受けて参りましたので、後日改めて報告させていただきます。是非ご期待ください。
【セントラ社】
毎年ユニークな部品を続々と開発・発表している、今一番 ” 元気のある ” パーツメーカーです。
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セントラ ハイサイト レイザー |
●ハイサイトブロック《レイザー》
ハイサイトブロックの中心から2つに割れています。この ” 割れ ” を上手に利用(ベースを挟み込むように)し、アンシュッツ社( 11mm )とファインベルクバウ社( 12mm )の双方を使えるように開発された 8mm 高のユニークなハイサイトブロックです。
手が込んでいるので「価格も素晴らしく跳ね上がるのか !? 」と思いきやそうでもなかったです。その理由は「部品自体が2つに割れているため、1つの部品を削り出す際に必要なアルミブロックが小さくなる為、ある程度生産コストを抑えることが可能だった」ということです。
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セントラ フロントベース LR |
●フロントベース《LR》
大口径ライフル用のアジャスタブルフロントサイトです。射撃レンジ(50、100、300あるいは1000m)によってマイクロサイトを動かすと、マイクロサイトの許容範囲を超えてしまうことが度々あります。このような時、フロントサイト自身が上下移動できればその許容範囲内に収める事ができます。また、射撃レンジ別にフロントサイトの高さを決めることができれば、リアサイトの高さが常に一定に安定でき、チークピースやバットプレートのセッティングをその都度変更することなくスムーズに射撃を楽しむことができます。それを実現させるためのフロントサイトベースです。
フロントサイトベースが取り付けられる銃身外径はφ 19mm です。ご注意いただきたいことは、これはあくまでも大口径ライフル専用に開発された商品です。また、フロントサイト径はM22/M18の別があります。
余談ですが、左射手用アクションスタビライザーを特別にお願いして製作して頂いた件で、今回改めてセントラ社にお礼を述べたところ、なんと左射手用のオーダーがあったのは世界中で当社のみだったそうです!そろそろ残り少なくなってきております。アンシュッツの左アクションを使用している射手の方々、お早めのご連絡をお待ち申し上げております。
【MEC社】
いわずと知れたドイツナショナルチームメンバーのマイク・エックハルト氏のプロデュースするブランドです。
●ストライク
今まで ” ありそうでなかった ” MEC社製スモールボアライフル用のサイトエクステンションチューブです。
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セントラ ストライク |
銃身に取り付けるベース部と、エクステンションチューブから構成されています。しかもチューブ部を取り外し、同封のインナースリーブをベース部にはめ込むとショートバージョンに早替わりする優れものです!オーダーの時には「必ず銃口径の外径を 1/100mm まで指示してください」と言われました。例えば「アンシュッツ1913ヘビーバレル用」とオーダーしても「生産時期により若干の寸法誤差があるため、銃口にとりつけられなかったり、ガタつきが生じたりすることがある」そうなのです。
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ストライク 分割時 |
MEC社から販売している大好評の《GE600ストック》は、ラージボアライフルとスモールボアライフル2丁分の機関部を1本のストックで使いまわせる ” 優れ物ストック ” と言われております。ですが「ラージボアライフル用、スモールボアライフル用と別ストックした方が良い」というのが今回、MEC社からいただいた重要なアドバイスです。
例えば、アンシュッツ1913と2013を1本のストックで使うというのは何の問題もないことですが、レミントン700用とアンシュッツ1913用を1本のストックで … となると、ストックの中グリ加工に少々無理が生じるらしいのです。ですから「もし ” どうしても! ” というのであれば、GE600のシャーシ部分のみを出荷するので、出来ればラージボアライフルとスモールボアライフルは別のストックで使ってください」ということでした。
【装着装備】
ここでは装着系の商品についてまとめてみます。
●新型グローブ
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クスターマン グローブ 表 |
クスターマン グローブ 裏 |
AHG社とクスターマン社から、それぞれ薄手のロングフィンガーモデル・グローブが発売されていました。
このグローブは従来のグローブとは見た目も、触った感触もあきらかに違います。
例えば、野球で使うバッティンググローブに滑り止めのラバー、ストックやスリングが当たる部分にのみクッション材を入れただけの非常にソフトなグローブです。個人的には「グローブというより手袋!」というのが正直な感想です。このグローブは洗濯も可能だというので、ドイツ国内の射手達の間で密かなブームになっているそうです!
●その他の装着装備
アテネオリンピック後、ISSFのルール改定されることは既に多くの皆様がご存知のことだと思います。その件について各メーカーに直接質問してみたところ「アテネオリンピックが終了してみないことには、今後どういったルール改定が行われるのかさえ正式にはわからない」との返答をいただきました。ですからメーカー側としてもかなり困惑しているようで、新製品の発表や大きなモデルチェンジはほとんど見受けられなかったのが実情でした。
このような状況の中で、オリンピック射撃競技とはまったく無縁の世界(オリンピック種目でない世界)で、たったひとつだけ目玉商品になるであろう商品を発掘してまいりました。それを最後にご紹介したいと思います。
【ベルジン社】
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ベルジン アモテスターセット |
●アモテスター
過去にも、センターファイヤーライフル実包の弾頭が薬きょうに真っ直ぐ付いているかどうかを調べるツールは、この世の中にたくさん存在しておりました。ですが「曲がって付いているものを、真っ直ぐに直せるツール」というものは、私の記憶の中には無かったと思います。
このベルジン社の《アモテスター》はツールに実包をさし込み、実包を回転させるだけで編身度が計測できます。難しいセッティングをする必要がありません。
実包を回転させるとインジケーターの針が動き、どちら側に弾頭が偏身されているのかが一目瞭然なのです。それから弾頭の偏身軸をインジケーターと逆方向に向け、インジケーターとは逆方向からのネジで少しずつ丁寧に押し出すのです。そうやって偏身角度を小さくすることで、弾頭を限りなくセンター軸に近づけることができる … . という代物です。
では弾頭がセンター軸に近ければどうなるのか?
答えはいたって簡単です。それは「当たる弾」になるのです。
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アモテスター 使用時 |
先にお断りしておきますが、この装置では100%完璧にセンター軸を出す事はできません。当然のことながら、ある程度の妥協をしていただく必要はあります。また、ベンチレスト競技で使用されるようなタイトネックな薬莢についている弾頭を無理矢理直そうとすると、ネックが歪んでしまいチャンバーに入らなくなるかもしれません。
この《アモテスター》は1つのボディで上と下に1つずつ、合計2つのチャンバーの穴が開いています。それは上のチャンバーでは308Win、下のチャンバーでは3006 … といったように、違う2サイズの実包が1つのボディで使用可能になります。
この本体に適合するグループは@S、AM、BL、Cウルトラマグと、標準で4グループ分けされております。
各種口径を持っている方にお薦めは ” テスターセット ” です。SとL用の2つのボディと1つのインジケーターで1セットになっています。
少々高価にはなりますがPPCとBR用のボディ1つとより精度の高いインジケーターが組み合わされた ” ベンチレスト ” など、様々な種類があります。
グループ分けの一例
Sサイズ=223+308 Mサイズ=308+3006 Lサイズ=3006+Mag
ウルトラマグ=RemUM+WSM
ベンチレスト=PPC+BR (精度の高いインジケーター付)
個人的にはこの《アモテスター》は今回のIWAショーで1番のヒット商品になるのでは?と考えております。何故なら、入荷次第まっさきに私が購入させてもらおうと考えているからです!
今回、このコラムで記述した商品は、当社で輸入を予定している商品に限ってのみご紹介させていただきました。(当然のことながらIWAではもっと多くの新製品が発表されております)
なにぶん新製品ばかりですので入荷までかなりお時間をいただくかもしれません。また、今現在は価格も未定な状態です。入荷次第、当店HPで発表させていきたいと思っておりますので、なにとぞ寛大なお心でお待ちくださいますようお願い申し上げます。しかしどうしても「いち早く入手したい!」と強いご希望をお持ちであれば、ご予約を承りますのでお気軽にご連絡ください。
これにてIWA2004 《新製品紹介編》を終わらせていただきます。
続編も予定しておりますので是非ご期待ください。
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