#017 ('04/03/29)
ファインベルクバウ社訪問記
オベルンドルフ駅から見た町並み

ファインベルクバウ社については、以前にコラムでも取り上げましたが当店はIWAの後に、ほぼ毎年のようにファインベルクバウ社を訪問しています。今回ファインベルクバウ社を訪問した一番の目的は、新型エアライフル《モデル700》と新型エアピストル《P−40》のメンテナンス技術を学ぶためでした。

メンテナンス技術をレクチャーしてくださる方は、毎回ランゲンバッヒャー氏です。当店がメンテナンスに関して絶大な信頼を寄せいつもお世話になっている、とても優しいおじさんです。ランゲンバッヒャーさんは英語も堪能なので(W杯等ではサービスをしています)日本のナショナルチーム選手の方々もお世話になった人は多いことと思います。

挨拶も簡単にすませ、早速レクチャーが始まります。《モデル700》を徐々に分解していくと、内部構造は《P−70》とほぼ同じシステム。《P−70》の欠点を改良したものが《モデル700》だという事が容易に再認識できます。《モデルP−70》と同システムの箇所については、当店では以前から何回もレクチャーを受けているので、十分理解していますが念のため、内部部品の変更等がないかの再確認を含めて一通りの説明を受けます。よく見ていると外見からではまったくわからない細部の部品改良などが時々出てきます。説明を受け、そして見比べて … ようやくわかるレベルの部品改良です!

モデル700の分解

いよいよ《モデル700》最大の特徴、新型プレッシャーリデューサー(減圧装置)、コッキングレバー、内蔵型アブソーバーの分解へと進んでいきます。プレッシャーリデューサーを分解して驚いたことは、この新型プレッシャーリデューサーは外見こそまったく ” 別物 ” でありながら、内部構造は《P−70》とまったく同一のものでした!ただし、一番最深部のシールパッキンは《P−70》の発売当時から3回程デザイン変更があったそうです。

コッキングレバーとアブソーバーの分解方法も丁寧に説明をしていただけました。アブソーバーのメンテナンスについては「通常はアブソーバー調整ネジを動かして、ベストポジションに持って行く程度で十分。本当におかしくならない限りは分解をしない方がいい!」とアドバイスを受けました。

アブソーバーを組立てるにあたって、ランゲンバッヒャーさんが妙な工具を持って来て組立てています。そこですかさず「その工具が欲しいです」と伝えたところ、バッヒャーさんは「これは俺の道具だからあげられない」とつれない返事でした。「なら、その道具が無くても上手に組立てられるのですか?」切り替えしたところ「そりゃあった方がいい。 … 5分待ってろ」と言いながらシブシブその道具を1つだけ持ってきてくださいました。いやぁ〜ランゲンバッヒャーさん、本当にありがとうございます。


組立てが終了すると、シューティングレンジに移動し、発射テスト、弾速調整、アブソーバー調整を行ってレクチャーが終了になります。ちょうどよい機会なので、以前から多くのお客様からお問い合わせがあった『アブソーバーからの風の吹き出し』と『リアサイトを一番前に出した時、コッキングレバーとリアサイトがぶつかってしまう』の2件について実際に見ていただきました。しかしながら、これらの事象は日本人特有の撃ち方でない限り発生しません。日本人は腕が短かいため、顔を前に出して撃つ傾向があります。その点ヨーロッパ人は腕が長く、リアサイトはできるだけ ” 後方にセットする ” というのが一般的らしく、実際リアサイトが後方にくればコッキングレバーとリアサイトがぶつかる様なこともありえませんし、アブソーバーからの吹き出し風も顔にまでは届かないのです。この相談にはランゲンバッヒャーさん自身も返答に窮していらっしゃるようでした。

試射場


P-40とP-34

続いてエアピストル《P−40》についても同様のレクチャーをお願いしたところ、グリップを外した《P−34》と《P−40》を1丁ずつ持って来て目前に並べ、「全て同じシステム。何の変更もしてない」の一言だけで全ての説明が終ってしまいました。やはりシステムが完成されているメーカーの銃は、本当によく出来ています。修理をする立場から言うと、たとえモデルが変わったとしても内部システムの変更箇所が少ない銃は、とても扱いやすく良い銃です。









ランゲン バッヒャーさんのレクチャーはとてもスムーズに進み、約2時間で終了したので内心ホッとしていました。実はファインベルクバウ社訪問の前日にアンシュッツ社を訪問し、新型エアライフル《9003プレミアム》のレクチャーを受けたのですが ... 詳細は次回のコラムにてUPします。
思っていた以上に早くレクチャーが終了したので、レクチャールームや試射シューティングレンジなどの写真も許可をもらい、数枚撮らせていただきました。

最後はファインベルクバウ社の社員食堂でランチをご馳走になりました。ここのランチは本当に美味しかったです。

これにて 《ファインベルクバウ社訪問記》を終わらせていただきます。

 

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