#021('04/05/11)
ブライカー・チャレンジャーライフル

ブライカー・チャレンジャーライフルは、今までのスモールボアライフルとは全く違う革新的なシステムの、ボルトアクションライフルです。2002年夏に発売が開始してからは、まだ間もないライフルですが次世代のスモールボアライフルとして、どの程度世界シェアに食い込んで行くかがとても楽しみなライフルです。
それでは「いったい、どこが今までのライフルと違うの?」を説明していきたいと思います。



1、 短いボルト

3社のボルト

よく「ショートストロークですね」と言われますが、ボルトの全長がただ単に短いだけなのです。ストロークを短くすると弾の装填、脱包が出来なくなりますので決してショートストロークではありません。
ボルト本体を短くすることで、装填口が極端に手前に寄せる事が出来ます。欧米人と比べ腕が短いとされる日本人には、姿勢を崩さずに弾の装填が出来るというメリットがあります。

3社の装填口

しかし装填口のみならず、銃身全体も手前に寄ってしまうため、フロントサイトとリアサイトの間の照準距離が極端に短くなってしまいます。この欠点を解決するために銃口部に、バレルエクステンションチューブが標準装備されています。
また銃全体の重心点も後方に寄るため、小柄な方にも非常に構えやすい銃になります。



2、 180度に付いている、2枚のフロントロッキングラグ    

ロッキングラグ

センターファイヤーライフルでは、このスタイルのロッキングラグが一般的ですが、今まで22ロングライフルの世界においてフロントロッキングラグというものは、なかなか実現の難しいシステムでした。
フロントロッキングラグにした最大のメリットは、コラム「セントラ・アクションスタビライザー」でも書いたように、弾を装填した後にボルトを閉鎖しても、ボルトと機関部に歪みが発生しません。歪みが発生しないので、弾を発射した直後の機関部はバイブレーションを発生しません。また180度対にロッキングラグを付けたことにより、発射時の反動を真っ直ぐ後方に受け止める事が出来る様になりました。
ボルト中心部の黒い部品は、インナーパーツとなっています。ボルトハンドルを上下してもこのインナーパーツは動きません。またボルト内のストライカースプリングは短くて反発力の強い物を採用しているため、発射時のバイブレーションが軽減されています。



3、 円筒形のボルト本体

ボルトの先端

リムファイヤーカートリッジを使うスモールボアライフルの場合は、実包を装填するときにローディングポートに乗せてからでないと薬室に弾を込めにくい、という現実があります。そのため一般的な銃の機関部には、必ず固定式のローディングポートが付いています。そのため円筒形のボルトを使用することは不可能と考えられていました。
そこでブライカー社では、上下可動式のローディングポートを開発し、円筒形のボルトを採用する事に成功しました。
円筒形のボルトもまた、発射時に発生する反動を、真っ直ぐ後方に受け止める事ができます。



4、 6つの大きな部品からなる機関部  

ブライカー機関部

@
前方部は銃身の入り込んでいる部品に、ボルトのロッキングラグがかかるので、この部分が機関部本体(レシーバー)になります。
銃身は機関部にねじ込み式で取り付けられています。
A
中間部は弾を乗せる板があるので、ローディングポートになります。
ボルトを前後させると、下からスプリングで押し上げられているローディングポートが、上下します。
B
後方部はボルトを前後させる時のガイドになっているので、ボルトガイドになります。
この部品にボルトストッパーが付いています。
C
下方部にこれら三つ(レシーバー、ローディングポート、ボルトガイド)の部品を固定させ、一つの機関部にする大きなプレートがあります。
このプレートは、アルミストックに乗ったセンターファイヤーライフルと、まったく同一規格で作られています。
D
前方の機関部と後方のボルトガイドを繋ぐようにリアサイトベースが橋渡しされています。このリアサイトベースはリアサイトの前後における可動範囲が大きくなるのみならず、機関部全体の補強の役目も果たします。
E
金色のボルトの表面は窒化処理されているため、表面硬度が非常に高くなっています。




5、 ユニークな薬室加工   

3社の機関部

通常のスモールボアライフルは、薬室全体とエジェクター及びエキストラクターの入る溝が、銃身素材から切り出されています。
薬室部の両脇には、ボルトの先端に付いているエジェクター及びエキストラクターの入り込む溝があることにより、薬室部の強度が低下するそうです。この理由は、いくらパワーの少ない22ロングライフル実包とはいえ発射時に発生する、火薬の燃焼エネルギーは十分にあります。薬室内で逃げ場の無くなったエネルギーは、薬室部の両脇にある強度の弱い溝部へ逃げようと、薬室を瞬時に広げてしまいます。そのため火薬のエネルギーは、常に安定して弾頭に伝える事が出来なくなるそうです。
ところがブライカー・チャレンジャーライフルの場合は、薬室部の後端部5mmが機関部で出来ています。
機関部素材はもちろん、銃身素材よりも硬い素材を使っています。そのため発射時に薬室部が変形する事がありませんので、火薬のエネルギーを弾頭にロスなく伝えることができます。
これらの点を考慮してなのか、ブライカー・チャレンジャーライフルにはエジェクターが付いていません。またエキストラクターも小さく作られています。



6、 ユニークなヘッドスペース調整      

薬室部と銃身の境目

ちょっと説明が難しいのですが5でも述べた様に、通常のスモールボアライフルは薬室部が銃身から切り出されていています。そのためヘッドスペースは、銃身とボルトヘッドの隙間で調整する事になります。銃身を機関部に叩き込む量の微調整によって、ヘッドスペースを調整します。
ブライカー・チャレンジャーライフルの場合は薬室部の後端部5mmが機関部で出来ているため、ボルトヘッドと機関部の間でヘッドスペースをキッチリ出しています。その機関部5mmの残りの薬室を、銃身に切って後は銃身を機関部にねじ込むだけの作業です。したがって銃身を機関部に取り付ける際のベッドスペース調整は、一切不要になります。この工程でのヘッドスペース調整は、ブライカー氏も「簡単な作業」と言っていました。



7、 スーパーマッチトリガー          

ブライカーのトリガー
3社のトリガー

60g〜160gまでの重さ調整が可能です。シングルステージとダブルステージの切り替えも可能です。
シア部品は超鋼バイト用の素材をワイヤーカットで切り出し、さらに表面をポリッシュ加工しているので、長期間の使用に耐える事が出来ます。



8、 銃身内のラッピング処理        

ブライカー社では、銃身製造メーカーから購入した銃身を、自社内でラッピング加工を施しています。
近年スモールボアライフルの銃身は、薬室部から銃口部へ向けて銃身内部がなだらかに細くなっている方がよく当たる(!?)と言われております。
この銃身内部の絞りを、ラッピング処理によって作りだしているそうです。
みなさんもアンシュッツやファインベルクバウのスモールボアライフルの銃身を掃除した時に気が付いた人も多い事と思いますが、ブラシやパッチを通した時に「銃口部で抵抗が大きくなった」と感じているはずです。この抵抗が銃口部の絞りになります。



9、 お好みに応じてオーダーできます    

シュミットストックとアンシュッツアルミストック仕様

これはカスタムメーカーの強みです。
通常市販されているストックやリアサイトを、お客様ご自身のお好みに合わせオーダーする事ができます。
ただし通常なら標準付属品であるハンドストップやパームレストが付いていないというのが欠点です。
当店ではオーダーシートを用意していますので、お気軽にご請求下さい。



10、 シュミットストック    

ブライカー分解

ブライカー社が販売しているストックの中に、ちょっと面白いストックがあります。その名は「シュミット」ストックです。
通常のライフル銃は機関部の下面にネジ穴が開いていて、このネジでストックと機関部を固定していますが、シュミットストックは違います。シュミットストックの最大の特徴は、銃身の中間部と後方部の二ヶ所をクランピングしてストックに固定します。そのため機関部は完全にストックからは宙に浮いています。
お客さまからはよく「こんなので本当に当たるの?」と聞かれますが、私は自信を持って「当たります!」と言い切れない小心者です。
でも安心して下さい。今まで3丁のシュミットストック付を輸入しましたが、ちゃんとテストターゲットは当たっていましたから。

写真と文章だけでは、なかなか理解できない事が多いと思います。
もしブライカー・チャレンジャーライフルのご購入を検討されている方で、当店にご来店いただける機会がありましたらぜひ一度、実際に現物をお手に取ってお客様ご自身の目でご確認頂ければ幸いと思います。

ただし当店も多くの在庫を置きませんので、事前に在庫があるかどうかのお問い合わせをお忘れなく。

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