#022('04/05/15)
アンシュッツ9003プレミアム補足説明

アンシュッツ 9003プレミアム


当店では2004年3月にアンシュッツ社を訪問し、9003プレミアムについてのレクチャーをアンシュッツ社のガンスミスから受けてきました。
以前に取り上げたコラム「9003プレミアム」では説明が不十分だと思い、この時にアンシュッツ社から受けてきたアドバイスを、特に重要と思われる部分について補足説明をさせて頂きたいと思います。


1、Soft-Link®について             

Soft-Link®

Soft-Link®は機関部とストックが直接接触しないように、機関部とストックを固定させる4ヶ所に入っています。フロント側はマウンティングピースとストック先端の間、リヤ側はベディングスクリューの座金として入っています。Soft-Link®の役割はストライカー、バルブ、スタビライザー、トリガー等の発射時に発生する機関部の振動をSoft-Link®で全て吸収し、これらの振動をストックに伝える事はありません。
開発当初は、ソフトタイプのSoft-Link®を銃に組み込んでいましたが、「ノプテルが反応しない事がある」という完全無振動状態にまでなってしまったそうです。そのため9003プレミアムのテストシューティングをしていた多くの選手が、あまりにも反動が無くなったために違和感を訴えたそうです。そこで急遽、振動吸収効果の弱いハードタイプのSoft-Link®を開発したそうです。
アンシュッツ社では現在、効果の弱いハードタイプのSoft-Link®を銃に組み込み出荷しています。そして効果の強いソフトタイプのSoft-Link®を銃の付属品として、ツールボックスの中に入れて出荷しています。
アンシュッツ社のメカニックからは、「ハードタイプでの射撃に馴れてからソフトタイプのSoft-Link®を使うと良い」とのアドバイスがありました。Soft-Link®のベディングトルクは、最初にフロント部のマウンティングピースと銃身を止めるネジを4Nmで締めた後に、リヤ部を5Nmで締めるよう指示がありました。また前後でソフトタイプとハードタイプのソフトリンクを別々に組み込むのは良いが、左右で別々の堅さのSoft-Link®を組むのは、良くないとのことです。
驚いた事にSoft-Link®の効果は、振動を吸収するだけではありませんでした。
エアライフルは鉄とアルミとプラスチックから出来ている精密機械です。それぞれの素材は、温度変化により発生する膨張、収縮率が違います。このため温度変化に伴い、ストックと機関部の間に歪みが生じます。すると着弾点にも少しずつ乱れが発生するそうです。Soft-Link®は温度変化により発生する、金属の歪みまで吸収する効果があるそうです。


2、Soft-Link®の交換方法について           

Soft-Link®の外し方

フロント側のSoft-Linkは、マウンティングピースを前方にずらすと出てきます。長い棒状のため、なかなか引き出せません。そこでチークピース後方に取り付けるためのバランサーのネジを使って引き抜いて下さい。後は交換するだけです。
リヤ側はベディングスクリューを外し、ストックと機関部を分解するとSoft-Link®が取り外せます。ソフトタイプに交換する場合は、同封されている金属製のワッシャーと一緒に組み込んで下さい。
なおソフトタイプのSoft-Link®の表面には、ご使用の前に必ず付属品のグリスを塗布して下さい。グリスを塗布しないと、Soft-Link®が外せなくなる場合があります。


3、5065トリガーシステムについて          

ニュートリガー

アンシュッツ社では、以前「気温が40℃を越えた時の大会で続発した、トリガートラブルについての原因究明にかなりの時間を費やした」そうです。この原因については先にもSoft-Link®で述べたように、「異なる金属素材の温度変化(金属とアルミ)による膨張率が原因で発生する」と言うことが解明されました。このトラブルを解決する為に5065トリガーシステムは、トリガーブロックのサイドプレートとシアを固定させるためのピンを、同一素材のスチール製にしました。またシアパーツには超鋼材を使っていますのでアンシュッツ社での35万回にも及ぶ発射テストにおいても、全くトラブルが発生しませんでした。
トリガーウェイト調整については、第一ステージと第二ステージの動きを完全に独立させた事により、更にトリガー調整が容易になりました。


4、スタビライザーについて  
               
ステイヤーマンリッヒャー社のエアガン部門であるスポーツワッフェン社は、アンシュッツ社との共同出資により経営されている会社です。その為アンシュッツ社はステイヤーマンリッヒャー社の持つメンテナンスフリーのスタビライザーシステムの技術を用いて、更に完成度を高めたスダビライザーシステムを開発して9003プレミアムに組み込む事に成功しました。


5、ウルトラショートロックタイムについて

ストライカーピンの軽量化に成功したため、旧モデルの2002CAよりも20%ほどロックタイムの短縮に成功しました。


6、グルーピングテストシューティングにおける注意点について

アンシュッツ社より、「通常はバレルをマシンレストにくわえてグルーピングテストをして欲しい」とアドバイスがありました。ストックをくわえてグルーピングテストを行うと、Soft-Link®があるためトリガーを引く際に銃口がぶれてしまい、いいグルーピングが出来ないそうです。どうしてもストックをくわえたい場合はハードタイプのSoft-Link®を使う事をおすすめします。


7、メンテナンスについて

銃身クリーニングは2000〜3000発の発射毎にクリーニングを行った方が良いそうです。
その時はフェルトペレットを使わずに、紐で引き抜くタイプのクリーニングキットをお薦めします。


8、標準付属品について     

9003プレミアムの付属品
ツールボックスの中味

大型トランクケースの中に小さなツールボックスが入っています。
このツールボックスの中には、エアアダプター、エア抜き、工具、グリス、スペアパッキン、バランスウェイト、ソフトタイプのSoft-Link®等が入っています。
また7種類のデザインステッカーが同封されています。お好みにあわせてストックの両サイドに張って下さい。
サービスマニュアルも同封されています。銃の修理の際には、このサービスマニュアルも一緒にご持参下さい。
それでは最新技術を満載した最新式エアライフル、アンシュッツ9003プレミアムでの射撃をぜひ体験してみて下さい。



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