#039 ('05/03/31)
IWA2005報告 新製品紹介編
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いよいよ春本番を迎えます。
ドイツで行われるIWAと、全国で行われる国体予選などが始まり、お客様の動きが活発になり始めるので、当店は慌ただしい日々を過ごしています。

IWA会場


IWAの訪問を機会にほんの一部ではありますが、新製品のご紹介をさせて頂きます。

IWAポスター


毎年3月の第二週の週末にドイツ、ニュルンベルクのメッセで行われるIWAは、今年は一週遅い第三週に行われ、とても良い陽気の中で過ごすことが出来ました。
もし本来の第二週でIWAが行われていたら、「ニュルンベルクの町並みは大雪が降り続き、極寒の中での開催になっていた」とニュルンベルク在住のドイツ人の方が教えてくれました。
なんでも一週間前は、何日も雪が降ったり止んだりで、道端には30cm以上もの雪が積もっていたそうです。
それを考えると、雪に弱い私は一週間の遅れのIWAで、本当に助かりました。


それではまず初めに、多くの方たちが気になっていると思われる、新しいISSFルールに対応した商品からご紹介させて頂きます。

≪目隠し板≫
いち早く昨年度から対応していた、クノブロッホ社やゲーマン社に続き、セントラ社やチャンピオン社でも新製品が発表されていました。

【チャンピオン社】
グラスフレームやヘッドバンド用の目隠し板は、すでに当店でも販売していますのでご存知の方も多いと思います。
しかし「チャンピオン社の両目の外側を覆うサイドカバーは、まだ出来ないのか?」とのお問い合わせが多く、我々も期待していた商品の一つでした。

チャンピオン


写真はグラスフレーム用ですが、もちろんヘッドバンド用もございます。
チャンピオン社のグラスフレームをお持ちの方。またクノブロッホ社のヘッドバンドの価格が少々高いのが気になる方は、チャンピオンのヘッドバンドの方がリーズナブルなのでお薦めいたします。

【セントラ社】
常にゲーマン社に対して、対抗意識丸出しで勝負を挑むセントラ社は、当店でも多くの販売実績を持つゲーマン社とほぼ同型の、リアサイトのピープディスクに直接取り付けるタイプの目隠し板を発表しています。
セントラファンの方には、お薦めの一品です。

≪ハイサイトブロック≫
今年から大きく規制が緩和された、サイトエレベーション。
私の予想通り、セントラ社から新しいハイサイトブロックが、なんと3種類も発表されていました。

<ブロック “クラブ”>

ブロック クラブ


ハイサイトブロックの高さを10mmから22mmの間を4mm間隔に、4段階で調整が可能です。
この高さ調整は、付属の部品を組み合わせる事により、調整する事ができます。
またサイトラインを横方向に、4mmオフセットする事もできます。

<ブロック “マックス”>

ブロック マックス


ハイサイトブロックの高さを18mmから27mmの間を1mm間隔に、10段階で調整が可能です。
この高さ調整は、付属の部品を組み合わせる事により、調整する事ができます。
このモデルはサイトラインを、オフセットする事ができません。

<トラック “マックス”>

トラック マックス

ハイサイトブロックの高さを22mmから27mmの間を1mm間隔に、6段階で調整が可能です。
この高さ調整は、付属の部品を組み合わせる事により、調整する事ができます。
このモデルはサイトラインを無段階で8mmまでオフセットする事もできます。

≪コートの硬さ≫
各メーカーに問い合わせましたが、クルト社やクスターマン社ではコート素材の固さ規制が厳しくなっても、現段階ではキャンバス地を柔らかく変更する事はしないそうです。


【クルト社(オイ ティーマライン)】

クルト ブース


クルト社の社長、クルト・チューネ氏によると「我々のジャケットは一回目に引っかかっても、2〜3回ほど机の角にこすりつければ、すぐに柔らかくなってしまう。この2〜3回で柔らかく出来るのが我々のジャケットの特徴だ」と言っていました。
しかし「ライフルスポーツ」2005年2月号の21ページによると、「机の角でしごく等の行為は禁止」となっているので、一抹の不安が残ります。
ただしこれらの話に出てくるジャケットは、練習量の多いトップクラスの選手が使う最上級クラスで硬いキャンバス地を使っている「エキスパートモデル」での話です。
我々の様なサンデーシューター用には、ちゃんと柔らかめのキャンバスをジャケットに使い、オーダーも

アドベンチャー


出来る「アドベンチャー」という新しいモデル(価格もお手ごろ)を用意しておりました。
この「アドベンチャー」ジャケットの特徴は、「エキスパート」ジャケットと比較すると、前面が8枚のパネルで形成されているところを4枚に枚数を減らし、キャンバス地の硬さも少し柔らかくしています。
これらの工夫により縫製工程での時間コストを、大きく削減しています。
またクラリーノと皮革の使う面積を縮小した事も、原価コストを削減する事に成功しました。

アドベンチャー


それでは次に各メーカーの紹介に移ります。
まず初めは、当店が日本総代理店であるファインベルクバウ社から、ご説明させて頂きます。


【ファインベルクバウ社】

バウブース Mod.700レッド


M700は、既に完成型になってきたのか大きなモデルチェンジは無く、M700Alu(アルミストック)のみのマイナーチェンジに留まっています。
M700Aluジュニアで使われていた配色(シルバー/レッド)が、標準モデルに追加されブラックカラーが生産中止になりました。
ファインベルクバウM700Aluのカラーは、「シルバー」「ブルー」「シルバー/レッド」の3種類になった訳です。

ブルー


シルバー


これに伴いM700Aluジュニアは「M700Aluライト」と、モデル名のみを変更しています。
M700Aluのデザインが大きく変更されている箇所は、いくつかのバランスウェイトが追加できる様になったという点です。
例を挙げるとアンシュッツ9003プレミアムと同じように、チークピースの後端部とバットプレートの下方前部にウェイトを取り付けることが出来ます。
このウェイトはスチール製で66g、アルミ製で24gです。

ウェイト


ただし全てのバランスウェイトがオプション部品になりますので、銃を購入頂いた際の標準付属として付いて来ませんので、ご注意ください。
それからマズルエクステンションチューブの色も、シルバーからブラックに変更されています。


【アンシュッツ社】

アンシュッツ ブース 8002


昨年度、発表された9003プレミアムに続いて、今年も新しいモデルのエアライフルが発表されました。
今度は9003プレミアムの廉価版で、そのモデル番号も数字が少し減り「8002」となりました。
機関部の特徴は、9003プレミアムについていた反動軽減装置のスタビライザーを取り外しました。
アルミストックのフレーム部品とチークピースは、左右対称にしてコストダウン。
グリップも左右用意しており、交換する事により、左右対称になります。
高校生向けの教習銃などに、向いていると思います。
アルミフレームの色は、ブラックとオレンジの2色が用意されています。
フォアエンドレーサーも、9003プレミアムと較べ単純な物を取り付け、標準付属品のバランスウェイトは取り外しました。
9003プレミアムの特長とも言えたSoft−Linkコネクションは、形を変えて残している様です。

8002シリーズ


更にカラーラミネートストックやウッドストックのモデルを追加して、価格帯の安いモデルに力を入れている様でした。

細かい部品として、9003プレミアムで使われているフォアエンドレーサーやトリガーシューまで、部品販売を始めました。

IWA2004では、まだプロトタイプだった為、前回のIWA報告では紹介を致しませんでしたが、ようやく今年になって製品として完成されたのが「レーザーパワー・バイアスロン」という光線銃です。
日本の射撃環境に精通しているアンシュッツ社のビッグボス、ディーター・アンシュッツ氏は去年、我々に「これはビーム・ライフルです」と紹介してくれた物です。

レーザーパワー・バイアスロン


射撃競技に興味を持ってもらう為のイベントには、最適の遊戯銃ではないか?と思います。
価格も案外、お手頃でした。
今年のビッグボスは入院しているらしく、お会いできなかったのが残念です。
来年はぜひ、お元気な姿を拝見したいと思っています。


【ステイヤー・スポーツワッフェン社】

ステイヤー ブース


ステイヤー社もようやく、エアライフルをモデルチェンジしました。
LG100からLG110へと変わり、ますますスタイリッシュになったと思います。

LG110


LG100では、マズルチューブとストック後部を銃本体から簡単に取り外す事が出来ました。銃を3分割にして「持ち運びに適したモデル」として販売していましたが、全て取り外してしまうと日本の銃刀法で定められている「空気銃の全長」を満たさないという問題が発生しました。当店でもマズルチューブを外せないように固定させ、苦労しながら販売していた代物でした。
LG110は、3分割に出来るモデルと出来ないモデルを平行して製造するそうなので、またステイヤー社のエアライフルを容易に販売することが、可能になりました。
M22径フロントサイトチューブや新ISSFルール対応のハイサイトブロック。数の増えたバランスウェイト等が標準装備になり、あとは価格しだいで購入しやすい銃になる事と思います。
今、空気銃を持っていない私も、一番にチェックを入れた銃であります。
エコノミーモデルのウッドストックつきLG20もシンプルなデザインに仕上がっています。

LG20


ステイヤー社では日本でもブームになりつつあるフィールドターゲットやハイパワーエアライフルにも力を入れている様で、外見はLG110と同じくスタイリッシュなのでこれらの銃も、販売が出来るのでは?と思っています。

ちなみにステイヤー社で販売しているフィールドターゲットやハイパワーエアライフルについて、少々詳しく付け加えます。

ハイパワーエアライフル


通常の標的射撃用LG110は7.5ジュールで、弾速は175m/S。
フィールドターゲットとハイパワーエアライフルでは、弾速を2種類用意していて16ジュールでは通常の射撃用ペレットで240m/S。24ジュールだとヘビーペレットを使い300m/Sも出るそうです。24ジュールですとSBよりちょっとパワーが弱い程度まで弾速が上がります。
一丁の銃でジュールを変えることは、レギュレーター(減圧装置)の問題で出来ないようです。したがって2種類の弾速を楽しみたい場合は、2丁の銃を所持しないといけない訳になります。
最後にステイヤー社の空気銃の銃身は現在、全てアンシュッツ製なので、銃身精度の心配についてはまったく問題は無いと思います。


【セントラ社】

セントラ ブース


ハイサイトブロックの種類の豊富さに驚かされたセントラ社は、昨年に続き頼もしい新製品を発表しています。

<サイト1.8“シニア”>

シニア


名前の通り、シニア向けの5色フィルター付きアジャスタブルアイピースです。
では何処がシニア向けなのか?と言うと、アイピースの外形は通常、円形になっていますが、このモデルは10面体に仕上がっています。この面にピープ穴径の数字が大きく刻まれているので、小さな文字は苦手という方でもはっきりと数字を確認することが出来ます。
またフィルターの色の表示も、今までの点から大きなポッチへと変更されています。
ドイツ射撃界も高年齢化が進んでいるのでしょう。これからはこの様な商品もどんどん開発されていく事でしょう。
細かい気配りの行き届いた商品です。

<サイト1.8“タイニー”>

タイニー


この5色フィルター付き、アジャスタブルアイピースは、通常の物よりかなり小さく出来ています。
では何故、アイピースを小さく作る必要があったのかと言うと、当店のコラムでも取り上げたMEC「フリーサイト」やセントラ「サイトベース10−50」の威力を更にパワーアップさせる為に必要でした。
照準時にせっかく前方から入ってくる光線や広く確保できる視野も、大きなアイピースで遮られては何の意味もありません。そこで視野を妨げない小さなアイピースを作り出したと言う事です。
現在、MEC「フリーサイト」やセントラ「サイトベース10−50」をお持ちの方はぜひ一度、試して頂きたい商品です。

<“カバー”>

カバー


セントラ社のアジャスタブルアイピースのみに取り付け可能な、偏光フィルター付き目隠し板です。
右射手で例を挙げると、標的側から目に入って来る光線量は、リアサイトを覗いている右目より、左目の方が強くなります。すると左目の瞳孔の動きに連動して、右目にも影響を与えてしまいます。
そこでリアサイトを覗いている右目の瞳孔の動きに合わせて、左目の目隠し版の色の濃さを偏光フィルターで調整し、右目の疲労を軽減しようと言う物なのです。
ちょっと使い方の難しい商品ですが、これらを十分に理解して使いこなせれば、きっとあなたの強い味方になることでしょう。


【サワー社】
≪シューズ≫

パーフェクト・スタイル


ここ最近、一番人気だったシューズが、少しだけデザイン変更をしていました。
ライフル射撃用シューズ「パーフェクト」は「パーフェクト・スタイル」に名称が変わり、色はシルバーが追加されました。

イージー・スタイル


ピストル射撃用シューズ「イージー」も同様に「イージー・スタイル」になり、それぞれインナーソールの踵部分を薄くしたそうです。

≪スリング≫

エクザクトU


今まで素材が硬かったエグザクトUスリングが、柔らかくなって新登場しました。
半透明で弾力のある素材は、強い力で引っ張られても決して伸びないとの事でした。
またこのスリングのアーム部は、ネジで取り外しが可能でアーム部部品を引っくり返すと左利き射手用に早代わりします。
旧モデルと同じ様に、スリングの長さを微調整できる部品も付いています。
今は当然の様に、何処のメーカーでも付いているスリングの長さ微調整機能は、サワー社が一番初めに開発した物です。

≪グローブ≫
2月のお知らせやコラムで紹介した、右手用グローブ「コンタクトグローブ」はサワー社でも大ヒット商品になっているそうです。
ライフル射撃に限らず、クレー射撃でも人気を呼んでいるそうです。
価格はリーズナブルなのでみなさん、どんどん使いましょう。


【AHGアンシュッツ社】

スタンド


ちょっと変わったデザインのシューティングスタンドがありました。
スタンドの重心が低くなっているので、安定性が増したように思えます。
このスタンドにスコープ用雲台を取り付けると、スコープスタンドにもなります。
主軸の伸縮の固定は、ネジを使わないクランプ式の固定方法なので、いささか耐久性に不安がありますが使い勝手の良さそうなスタンドでした。

モノフレーム


それから小さな部品ですが「モノフレーム」という、リアサイトに取り付けるメガネ用レンズホルダーがありました。
「おぉ、これを使えばグラスフレームの持ち歩きや、レンズ位置や角度のセッティングの心配が、一気に無くなるではないか!」と思いきや、照準器に取り付ける光学機器なのでISSFの承認が得られないとの事でした。これは非常に残念です。
ただしマスターズの大会では使えます。私も十数年後にはきっとお世話になっている部品だと思います。

【MEC社】

グラスシステム 3ポジション


今年はおとなしかったMECですが、「グラスシステム 3ポジション」と言う名のグラスフレーム用レンズホルダーのセットを販売していました。
今までのMECのグラスフレームの特徴は「セティングを変えたレンズホルダー+アングルを用意すれば、おのおのの姿勢に対応できる」という物でしたが、レンズをそれぞれ準備しないといけないと言う、大きな欠点がありました。
この欠点を克服したのが「グラスシステム 3ポジション」です。
これは「アングルが3個とレンズホルダーが1個」の1セットでレンズホルダーがアングルから、簡単に取り外しが出来ますので各姿勢ごとに用意したアングルに、一つのレンズホルダーを交換して使えばいいと言う商品です。
また大好評だった射撃教本「ウェイズ オブ ザ ライフル」に続いて「エア ライフル シューティング」を販売していました。残念な事にまだ、英語版とドイツ語版しかありません。

長くなりましたが、新製品のご紹介はこれまでとさせて頂きます。

《IWA2005報告 新製品紹介編》にて紹介させて頂いた新製品については、当店にて輸入を予定している商品または、私がちょっと気になった商品の一部です。
出来る限りホームページ上の「お知らせ」にて入荷状況などをご連絡したいと思います。
ただ新製品の為、メーカーからの出荷が遅れたり、価格のお知らせが遅れたりでご迷惑をお掛けする場合が多いかと思いますがご了承ください。

この後、続編も予定しています。
楽しみにお待ちください。


 
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