#073 ('07/01/20)

ステイヤー LG110ハイパワー エアライフル Φ5.5mm

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ステイヤー  LG110 ハイパワー φ 5.5mm  右側


みなさん大変お待たせしました。
やっと待望のステイヤー社のハイパワーエアライフル、口径 5.5mm の LG110 がようやく入荷しました。

最初に当店が、ステイヤー社に口径 5.5mm の製作が可能かどうか?のお伺いをたてたのが、 2 年前の IWA の会場です。
そこでまずまずの返事をいただき、そして昨年の IWA の会場で正式注文をステイヤー社に受けて頂き、ようやく完成にこぎつけた口径 5.5mm のハイパワーエアライフルです。
すなわちこの銃は、当店がステイヤー社に依頼して、製造をお願いした特別注文の銃なのです。


ステイヤー ハイパワー φ 5.5mm  左側


日本で既に出回っているハイパワーエアライフルに比べ、今までの 4.5mm のステイヤー LG110 ハイパワーエアライフルは 24 ジュール (19fbs) で、口径も小さいしパワーも少ないと、敬遠されがちでした。
しかし購入されたお客様の評価は非常に高く、特にH & N社のバラクーダマッチとの組み合わせで最高の命中精度を発揮するので、腕さえあれば狙ったターゲットに確実にヒットさせる事が出来るとの事で、パワーはこれで十分と賛辞を受けてきました。
特に 30m 以内であれば、多少の横風なら影響を受けず、真っ直ぐに弾が飛んでいくそうです。
しかしみなさん「これだけ当たるのなら、もしステイヤー LG110 に 5.5mm があったなら、他社の銃と比べたら、どの程度よく当たるのかな?」と、興味を示す方が多かったのも事実です。

ステイヤー社に依頼した当初の話では「 5.5mm でも 24 ジュール以上はバワーを上げない」との話でした。
試作段階では、やはり最初は 24 ジュールでテストをしたそうです。
「パワーは無いが、 50m で非常に良いグルーピングが出た」との報告を当店では、ステイヤー社から受けていました。
その後、納期や価格の確認をしていると、ステイヤー社から「テストをした結果、やはりパワーが足りずヘビーペレットを上手く飛ばすことが出来なかったので、パワーを 40 ジュールに上げます。 40 ジュールにパワーを上げた状態で 50m での集弾テストではすばらしい結果が出ました。したがってパワーを上げて宜しいでしょうか?パワーを上げても、日本の法律には触れませんか?」との連絡が入りました。
この連絡は私も、 24 ジュールではパワー不足を懸念していたので、願ってもいない報告でした。
それに「 4.5mm と 5.5mm を見た目で判別出来るように、アルミフレームのメッキを現行のシルバーから黒に変更します」との事でした。
アルミフレームを黒にすると、ストックの両脇に掘り込まれた「 STEYR 」のロゴマークがシリンダーの色のシルバーに光り、よりスタイリッシュに見えると思います。
銃身の長さも、 4.5mm と比べて長いので、並べて見比べると 5.5mm の方が、かっこよく見えますね。
残念ながら 4.5mm に付いていた反動吸収装置「スタビライザー」は、今回の 5.5mm には付いていませんでした。まあ口径が大きくなった分、反動が大きくなりとても「スタビライザー」では、反動を吸収しきれないとステイヤー社が判断したのでしょう。


4.5mm と 5.5mm の比較


以前のコラムにも紹介しているようにステイヤー社は今、ドイツの名門アンシュッツ社との共同経営です。
したがって取り付けられている銃身も、アンシュッツ社が製造している物を使用しています。
5.5mm 銃身は、もしかしたらアンシュッツ社の 22 ロングライフル銃身を、そのまま流用しているかもしれません。
もしそうであるならば、この銃身はオリンピックのライフル射撃やバイアスロンに使われ、数々の世界記録を樹立し、また多くのメダルをも獲得してきた歴史と実績のある銃身と、まったく同じ工法で作られた銃身になる訳です。


5.5mm の銃口部


他社のハイパワーエアライフルでも、ドイツの名門銃身メーカーであるローサー・ワルサー社の銃身を使用しているメーカーもあります。
「アンシュッツの銃身とローサー・ワルサーの銃身、いったいどちらが当たるんだろう?」と、思っているのは私だけでしょうか。
ちなみにローサー・ワルサー社の銃身は、スイスのモリーニ社やイギリスのシステムジェミニで有名な HPS ( RPA )社で製造されている、パルママッチ用のライフルにも装着されている、実績のある銃身メーカーです。

ステイヤー社は、皆さんはすでにご存知と思いますが、標的射撃用競技銃の専門メーカーです。
したがって、ちゃんと出荷前に発射テストをした時のテストターゲットを、オリジナルマニュアルに付けて来ます。
テストターゲットを良くみると、 50m で撃ち弾は H & N 社のバラクーダを使ったと、表示されています。
バラクーダマッチなら、もっとよいグルーピングになっていたと思います。


オリジナルマニュアルに付いてくるテストターゲット


今回の初入荷は 5 丁のみです。
実はこの 5 丁には、裏話があります。
あくまでも、ステイヤー社が販売しているハイパワーエアライフルは、 4.5mm だけなのです。
5.5mm はあくまでも、当店がステイヤー社に依頼した特別注文品の銃なので、ユーザーズマニュアルが4.5mm のままなのは私も覚悟をしていましたが、なんと銃本体に刻印されている口径の表示4.5mmのままだったのです。
だから 4.5mm と 5.5mm を見た目で区別できる様、ストックの色を変えるなんて言って来たのですね。
待望の銃が入荷して、喜び勇んで梱包を開けたら … 4.5mm の刻印が入っていて … もの凄いショックでした。


4.5mm と刻まれた刻印


この 4.5mm の「 4 」の部分を削り取り、新たに「 5 」の刻印を打刻しないとなりません。
横線で消すのも汚いし、メッキを剥がしても下地がきれいに黒塗り出来ないし。
せっかくの綺麗な銃が、台無しです。

周知の事実ですが、日本で所持許可を申請する場合、銃砲所持申請書に口径を記入しないといけません。
そして所持許可証に、申請をした口径が必ず記載されています。
許可証の記載と銃の刻印が違っていたら、銃砲一斉検査の度に銃口にノギスを差し込まれる羽目になるかも知れません。
ライフルの場合、銃口にキズが付くと命中精度に支障をきたします。
なんとか 5.5mm であることをアピールしないとなりません。
ヨーロッパではたかが空気銃に、そこまでの規制がないのでしょうか?


5.5mm に打ち直した刻印


早速ステイヤー社に、次の入荷分を 5.5mm の刻印を入れてもらえる様に頼み、ようやく了解の返事を頂くことが出来ました。
しかし海外のメーカーって、日本人みたいに几帳面ではないので、本当に当店の希望通りに行くかどうか、一抹の不安が残ります。
でも「ステイヤー社なら、きっと大丈夫」と自分に言い聞かせ、次回の入荷分を楽しみに待っております。


ちょっとだけ発射テストをしてみましたので、簡単にレポートいたします。
弾速測定器は絶対的信頼をおける、ドイツ製のバインリヒを使用しました。
ただしバインリヒはメートル表示の弾速と、平均弾速および偏差しか表示しないため、パワーとフィートは計算式を使っての数値になります。
計算間違いがありましたら、こっそり教えてください。

使用弾は H&N 社製バラクーダマッチで、弾の重量は 1.37g(21.14gr) になります。
シリンダーに、空気をフルチャージした直後の 10 発で計測したところ、平均弾速は銃口部で 250m/s ( 820.25 f / s)を指しました。メートル表示での平均偏差 0.6 m/s と、競技銃なみの安定感があったのには、私も驚きました。
この時の弾速でパワーを計算すると、 42.8 ジュール( 31.57 ft/lbs )になります。
シリンダーを 200bar にフルチャージした状態から、最初の約 20 発程度は安定した弾速を得る事が出来ました。
「 25 発位が限界かな?」と思いながら試射をしていると、徐々に弾速が低下してきます。
この時の気圧は 120 気圧で、シリンダーの内圧が下がると、徐々に弾速が低下して来るようです。
弾速が落ちると、シリンダーのマノメーターの針の動きも、遅くなってきます。すなわち空気の消費量が少なくなってくると言う事です。
最終的には 200 m/s ( 656.2 f / s)まで弾速が下がり、パワーも 27.4 ジュール( 20.2 ft/lbs )まで落ちていました。
35 発目でカチッとストライカーがバルブを叩く音だけして、空気を放出する事が出来なくなりました。
このカチッという音が、打ち止めの合図になります。
この時のシリンダーのマノメーターは、約 80 気圧を指していました。すなわち発射可能な空気圧は80気圧までという事になります。
この結果は標的射撃を前提に考えると、弾速が安定して使える使用範囲は、シリンダーの内圧が 120 気圧位までと思われた方が良いでしょう。
これらの数値は、気象条件や銃、シリンダーのコンディションにより変化する事を、忘れないで下さい。


H&N バラクーダとバラクーダマッチ


☆ステイヤー LG110 ハイパワーφ 5.5mm のテクニカルデータ

全長: 100.0mm
銃身長: 55.0mm
重量: 3.24 s
口径:φ 5.5mm
形式:単発式圧縮空気銃
パワー: 40 ジュール (29.5ft/lbs) ※(メーカー公表値)
パワー調整機能:なし
初速:約 250m/s(820f/s) ※
トリガー:アジャスタブル 2 ステージトリガー
トリガーウェイト: 200g
シリンダー:着脱式
シリンダー内容量: 206 ml Max200Bar
発射可能弾数:約 30 発

※この数値は、H&N社のバラクーダマッチを使用して得られた数値です。


ここ最近は、ユーロ通貨の上昇と金属素材の価格の高騰が続いておりますし、セールも1月いっぱいでまもなく終了いたします。
次回の入荷分は、もしかしたら値上げをするかも知れません。
刻印の打ち直しが気にならない方は、初入荷の 5 丁のうちの 1 丁を手に入れられた方が良いのでは?と思います。

今回は、刻印の打ち直しがある 5 丁の銃に限り、特別価格を用意いたしました。
5 丁限りの特別価格は¥ 215,000- です。

もしこの刻印が気に入らない方は、今月一杯までの 2006/2007 ウィンターセール期間中にご予約いただきますと、セール価格にてご予約をお受けいたします。

セール価格は\222,000です。

2006/2007 ウィンターセール以後は、通常のメイト価格になります。
2007 年 1 月 20 日現在のメイト価格は\252,000ですが、 2 月より値上げを予定しております。

ユーロ通貨と金属価格の高騰で、次回の夏のセール価格はいったいいくらになるのでしょうか?私も予測が出来ません。

さあ皆さん、もうすぐ春が訪れます。
暖かくなってきたら、射撃のシーズンが始まります。
新しい銃で今年も一年間、気持ち良く射撃を楽しみましょう。




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