#086 ('08/04/09)

IWA2008  報告 新製品紹介 後編

写真をクリックすると、拡大写真がご覧になれます。

前編では、エアーライフルとエアーピストル、そしてスモールボアライフルとその用品をメインとしているメーカーに重点を置き、ご説明してきました。
後編では引き続き新製品紹介の他に、 IWA 独特な一面もご紹介できればと思います。



【グリュンネル】

スイスのセンターファイヤーライフル専門の創業 45 年の歴史のあるメーカーです。
昨年度は当店でも、 RS- Vレボリューション アルミストックが大好評でした。
今までは、アンシュッツ社のフックバットプレートを、オプションとして販売していましたが、強度的にあまり強くないと言う事で、ようやくグリュンネル社でも、 RS- Vレボリューション アルミストックに付属するバットプレートを独自に開発しました。
それも半端でない種類です。
では、一気に写真を載せてみます。


グリュンネル社オリジナル バットプレート


何処がどの様に違うか、ご理解いただけましたでしょうか?
私も IWA の会場では全く理解できなかったので、皆様もきっと瞬時に理解するには難しいかと思います。
では簡単にご説明いたしましょう。

フック付きとフック無しは一目見て、誰でもご理解いただけると思います。
フック付には品番のアルファベットに「 F 」が付きます。
きっと Free または Frei の「 F 」でしょう。

品番に数字がありますが、良く見ていただければご理解できると思います。
これは、ゴムラバーの厚みなのです。

「 1 」はラバーチップがバットプレートに刺さっています。
 主に、エアーライフルやスモールボアライフル用の、バットプレートです。
「 5 」は 5mm 厚のゴムラバーが付いています。
 主にスモールボアライフルと口径の小さいビッグボアライフル用の、バットプレートです。
「 10 」は 10mm 厚のゴムラバーが付いています。
  主にビッグボアライフル用のバットプレートです。

さて、ここからが問題です。
よく見ると「 EA 」「 EV 」「 XT 」とあります。

「 EA 」は Easy グループの略です。
文字通り ” 単純な ” 作りです。とは言っても、他社のバットプレートと比べると、非常に良く出来ています。
バットプレートベースがカーブドで、ただ単に上下に動くだけです。

「 EV 」は Evolution グループの略です。
  バットプレートの動きがストレートに上下に動くだけでなく、左右に振る事が出来ます。
Easy と同じくベース部がカーブドで、上下の動きに加え、バットプレートが左右にふれるタイプのベースは「 B 」タイプになります。

「 XT 」は Xtreme グループの略です。
  ストレートに上下に動き、左右に振る事が出来ます。それに加え、バットプレートの肩に当たる部分が± 12 °シーソーの様に傾ける事が出来るのです。写真は横面しかありませんので説明が難しいですが、上からのスクリューで傾きを調整することが出来るのです。
バットプレートを左右に振るときは「カチッカチッ」っと、心地よいラチェット音が響きます。

5mm と 10mm のゴムラバー付きのバットプレートは、ゴムラバーが交換可能になっているようです。
したがって、ゴムラバーが磨り減ったりしても、または 10mm は使い難いから 5mm に交換しようなんて事も、簡単に出来るみたいです。

「まったくこんなにたくさん、バットプレートの種類を作りやがって … もっと数を絞ってくれればいいのに。もっと売り手の事を考えてくれ!」って言うのが本音です。
でも中には、私も使ってみたいと思ういい物があるので、当店でも的を絞って輸入をしてみたいと思っております。
これらの写真を見ただけでも、グリュンネル社のバットプレートは、作り込みの良さが伝わってきます。


グリュンネル社のブース


これらのバットプレートは、きっとお高いんでしょうね。
写真をよぉく見ると、現地価格が書いてありますので、参考にして下さい。


さて次は、ライフルスコープをご紹介いたしましょう。



【シュミット&ベンダー】


シュミット&ベンダー社のブース


シュミット&ベンダーと言えば、やっぱりコレですよね。
USMC (アメリカ海兵隊)に採用された 3-12 × 50 PM- U Gen2 ミルドット イルミネーションレティクルです。


3-12 × 50 PM- U Gen2 ミルドット

さすがに USMC の刻印の入ったものは入手不可能ですが、 USMC の刻印の無い、民間向けのスコープなら入手が可能です。
実はこのモデル、すでに当店に入荷しております。


Gen2 ミルドットレティクル


特殊用途向けのライフルスコープなので、年末年始のセールには遠慮がちに載せておきましたが、気が付いたお客様はほんの数名しかいらっしゃらなかったと思います。
現段階ではまだ在庫が有りますので、もしものスコープに興味のある方はご来店時に、お申し出下さい。今なら手に取ってご覧いただく事ができます。

会場を歩き回っていると、至る所にシュミット&ベンダーの広告を目にします。


シュミット&ベンダー社の広告


この広告には、間違いなくお金がかかっています。
この円柱形の柱、中に垂れ幕が吊り下げられているのかな?と思ったら、どの角度から見てもこの図柄に見えるのです。思わず写真を撮ってきました。
でも写真ではこの広告、垂れ幕に見えてしまいます。

PM- Uシリーズに新製品が出ておりました。
ヨーロッパの一流メーカーでは珍しい、高倍率のライフルスコープです。


12-50 × 56PM- U /P  独文


私もスコープについては、あまり詳しくないので説明文入りの写真を撮ってきました。
もしドイツ語が読める人は、写真をクリックすると画像が大きくなりますので、是非とも説明文を読んでみて下さい。

もしや?と思い、裏側に回ったらやっぱり、英語の説明文がありました。
英語なら何とかなるという人は、こちらの写真をご覧下さい。


12-50 × 56PM- U /P  英文


パララックッスは 50m 〜∞まで、チューブ径はもちろん 34mm です。

レティクルはスポーツレティクルしかなく、競技用のイメージが拭い去れませんがあくまでも PM- Uシリーズなので、今後のレティクル展開が非常に楽しみです。
とにかく、倍率が 12 倍から 50 倍までのバリアブルというのが、嬉しい限りです。


スポーツレティクル


この倍率でスポーツレティクルなら、ベンチレスト射撃の世界にも食い込めそうな仕様になっていると思います。
当面のライバルは、マーチと言ったところでしょうか?

先日、 GUN 誌 5 月号に紹介されていた、ショットショーレポートを読みました。
GUN 誌ではシュミット&ベンダー社の新製品は、 12.5-50 × 56 と紹介されています。
この商品とは別物なのでしょうか?ちょっと気になるところです。
最後までシュミット&ベンダーの記事を読むと、悲しいことですが代理店は他社の名前になっていました。



【カール・ツアイス】

世界のトップの座に君臨する、ドイツの光学機器メーカー、カール・ツアイスです。
昨年度のレポートで少しは話題になった(かな?)、レンジファインダー付きのライフルスコープ、ビクトリーディアレンジに新しいモデルが追加されていました。
少し小振りになった 2.5-10 × 50T が新登場です。


ディアレンジ 2.5-10 × 50T


4-16 × 56T ですとスコープ自体が重くなり、猟場での取り回しに不自由だったのでしょう。
小振りになって一段と、使いやすくなった事間違いなしです。
この写真の右にいるおじさん、なかなか動いてくれずに、いい写真が撮れませんでした。

さてもう一つ、ライフルスポーツの広告に載せたダイアスポーツも、展示されていました。


クラシック ディアスポーツ 2.5-10 × 42T


これも IWA では初登場なのでこのスコープの周りから、なかなか人が居なくなってくれません。したがって写真を撮ってくる事が出来ませんでしたのでちょっとインチキをして、帰国後に店の中でゆっくりと写真を、撮ってみました。


No.67 レティクル


この No.67 レティクルは、 50m のスモールボアライフル専用のレティクルになっています。
このレティクルで 50m の公式標的を狙うと、アイアンインサートで標的を狙った感覚と同じように見え、ピープサイトからライフルスコープに変わっても、違和感が少ないのが特徴です。もちろん 300m でも使えます。
レティクルが丸い標的を狙う為に、円状になっているスコープは本当にめずらしいので、スモールボアライフルのベンチレスト射撃や、大口径のハンティングライフルに活用していただければ?と思っております。
遠からず私も、きっとお世話になるスコープでしょう。

ツアイスのブース見学も時間が無くなってきたので、そろそろツアイスのブースを撤収と思っていると、なかなかカッコのよいスコープを発見しました。


ディアバリ 6-24 × 56T


店に戻って確認をした所、倍率とチューブ径が違っていましたが、実はこのディアバリ 6-24 × 56T にそっくりなモデルが一本だけ、店頭に在庫を置いているのです。
すでに来店されたお目の高いお客様の何名かは、すぐにこのスコープを見つけてくれました。
気が付いた方は、皆さん「いいねぇ」と言ってくれます。もちろんお値段もいいので、まだ店頭販売は一本も売れていません。
そのスコープとはもちろん、そうですカール・ツアイスと言えば、ヘンゾルトです。


ヘンゾルト ZF 4-16 × 56


ヘンゾルトと言うと、戦時中のドイツのライフルスコープを思い浮かべる方が、大多数だと思います。でも新製品も出しているのです。それがこのスコープです。
サイドフォーカスにキャップの中に、バッテリーを入れるとイルミネーションレティクルになります。


ZF 4-16 × 56 のレティクル


レティクルもちょっと変わった形状になっていますね。
チューブ径はもちろん 34mm です。

もちろんアンティークなヘンゾルトも、 IWA の会場の中をくまなく探すと、何ヶ所かのブースで見ることも出来ます。


アンティークなヘンゾルト


マニアにはたまらない逸品だと思います。
でもこの手のヘンゾルトは、単倍率で低倍率のスコープしかないんですよね。


それではいよいよ、ライフルカートリッジのメーカーです。
北京オリンピックに向けて、銃器メーカーの動きは殆んど無かったものの、カートリッジメーカーは大きく動き出しました。
スモールボアライフルのカートリッジメーカーは、殆んどのパッケージを総入れ替えして、中には名称も変更したメーカーもありました。



【ラプア】


X-ACT


ブログでも紹介した、全く新しい新製品です。
ラプア社の最高級のスモールボアライフルカートリッジで、トップシューターによって行われたテストシューティングでも、高い評価を得ているそうです。
北京オリンピックでは、ラプア社がどの程度、巻き返しなるか楽しみです。
10 年ほど前でしたか?エレー社でテネックスの上に更にハイグレードの、テネックスゴールドという弾があったのを、皆さんは覚えていらっしゃいますか?
そのテネックスゴールドと、同じグレードと考えていただければ、簡単にご理解をいただけると思います。


Midas +


今までのミダスと同等品です。
以前は弾頭の直径の大きさで、 L と M の 2 種類があったのを皆さん、ご存知だったと思います。
しかし今度のミダス+には L が無くなってしまいました。
私はずっとミダス L を使っていたので、とても残念な限りです。


Center-X


今までのマスターと同等品です。
ここまでのクラスが、試合用としても十分に使用できるクラスになります。
後ろの飾りの薬莢のプレス、うちの店にもディスプレーとして、欲しいですね。

ここまでが試合用の以下は練習用の普及弾になります。
ラプア社と同じ nammo グループの、旧東ドイツにある元 SK 社(現在は Lapua GmbH )のブランド名を復活させました。


スタンダードプラス


きっと中身は、現在のスーパークラブとまったく同一と思われます。


マガジン .22


名称こそは変わりましたが、残っていてくれて安心しました。
当店の一番の売れ筋の缶弾です。
マガジン .22 なんて名称は、マガジンに弾を詰めてセミオートライフルでブッ放せ!!という意味合いがあるのでしょうか?

では皆さんが一番気になるところの「中身は変わったの?」と言う事になります。
以前のミダスとマスターはフィンランドのラプア社が、プライミングした薬莢(発火剤を付けた薬莢)を Lapua GmbH から輸入して、火薬と弾頭を装着していました。
しかし今回の新しい弾から全ての Lapua ブランドと SK ブランドは全て Lapua GmbH の製造となります。
これはきっと、世界で一番ライフル射撃人口の多いドイツを的に絞っての、販売戦略だと思います。
工場がドイツ国内にあれば、ドイツの選手が簡単に工場まで、自分の銃を持って弾を選びに行くことが出来ますので。
と言う訳で、 SK ブランドの弾には中身の変更は無かったようですが、ラプアブランドの弾は根本的に製造元が変わったので、中身も変わったという事になります。



【 RWS 】

弾の名称は変わりませんが、パッケージを一新しました。


R-50 の New パッケージ


気になる中身は、きっといい方向に変わっていると思いたいところです。
さて RWS ですが、新しくなったパッケージに、ひと工夫をしています。
パッケージに印刷された★の数で、その弾のグレードが 5 段階に分かれます。

5 つ星はもちろん、 R-100 と R-50 。
4 つ星と3つ星は当店で輸入をしておりませんが、スペシャルマッチとライフルマッチ。
最近、人気の出てきたターゲットライフルは 2 つ星になります。
ちなみに 1 つ星のクラブという弾もあります。


【エレー】
当店はエレー社の代理店ではないので、ブースで話を聞いてきませんでした。
やはりエレー社でも、パッケージを変えています。


テネックス


パッケージを良く見ると、アルティメイトの名称が無くなり、テネックスの名前が再度、復活いたしました。
パッケージも破損しにくい、ボックス型の箱になっています。
この立派な箱を使って、ラプアの缶弾を入れて持ち運ぶ人、いったい何人いるのでしょうか?

さて、北京オリンピックに向けてのカートリッジメーカーの三つ巴合戦、一体どこのメーカーに軍配が上がるのでしょうか?
個人的にはラプア社に、頑張って貰いたいと思います。

IWA の新製品紹介は、このくらいで終了させていただきます。


会場をくまなく回っていると、ちょっと気になる物がありましたので、何枚か写真に収めてきました。
IWA の雰囲気が少しでも、皆様に伝わればと思います。
くだらない物もいくつかございますが、ご覧になって下さい。



【フォトギャラリー】

スミス&ウェッソン

スミス&ウェッソンのライフル


ピストルメーカーのスミス&ウェッソン社が、ボルトアクション・ライフルを販売していました。
やっぱり餅屋は餅屋、手にとって良く見ると何とも言い難いライフルですが、最初からレシーバーの上に、ウィーバーレールが付いているところが良いですね。
何年か前に、コルト社もボルトアクション・ライフルを販売した事がありますが、成功はしなかったと記憶しています。

フェラッハの銃

フェラッハのドリリングガン


前回の IWA 報告でも紹介した、フェラッハの銃です。
フェラッハはあくまでも町の名前で、この銃を製作したメーカー名は写真にもある様に、 KOSCHAT といいます。
去年も写真を写したから今年はいいや!と思いつつ、やっぱり綺麗な銃がすぐそこにあると、思わずシャッターを切ってしまいたくなります。

豊和工業

豊和のライフル


この看板を見つけたときは、もしや豊和工業がブースを出したのか?と思いました。
でも海外の代理店のブースの一角に、豊和のコーナーを作っただけの様です。
でも人が集まっている所を見ると、豊和工業の銃はけっこう、海外では評価が高いのかも知れませんね。

ペラッチ

ペラッチの記念銃


皆さんご存知の、イタリアのペラッチも今年は、 40 周年記念のようです。
写真の銃は、 40 周年及び北京オリンピックの記念銃です。
北京と争って?負けた都市を覚えていますか?
もしその都市名がこの銃に入っていたら、たくさんの日本人が買ったでしょうね、この記念銃。
そういえばいつも置いてある、あの大きなサービスカーがブースに、ありませんでした。
壊れちゃったのでしょうか??

フランコニア ヤクート

フランコニアのブース


一度は経営破たんをしてしまったフランコニアですが、ちゃんと復活しております。
ここニュルンベルク周辺を含むドイツ南部の、バイエルン州北部のフランケン地方がお膝元の、一大チェーン店です。
ドイツ国内の大都市には、必ずと言っていいほど支店があります。ドイツ伝統の衣装も充実していますので、ドイツ観光をした際には是非とも立ち寄って見て下さい。
きっとガイドブックにも紹介されていると思います。
もちろんライフル射撃用品も、取り扱っています。

メルケル

メルケルのブース


何度と無く紹介をしている、ズールにあるメルケルのブースです。
左側のオネェさんは毎年、彫金のデモンストレーションを行っています。
その奥を見ると、テーブルを囲んでビールを飲んでいる人たちがいます。
商談をしているのか、世間話をしているのか? IWA ではこんな光景をよく見かけます。
ブースを飲み屋代わりにしている人って、本当に多いんですよね。



鎧屋さん


ちょっと不気味な気配がしますが、こんなアンティークな鎧を専門に扱っているブースも、たくさんあります。
もちろんレプリカだと思いますが、もし本物だと思うとちょっと怖いですね。



スバルのブース


日本車の販売ブースもあります。
鹿の剥製と並べている所が、いかにもドイツっぽいですね。



イノシシの剥製


狩猟専門の猟具を扱うブースですが、なんとも言えないイノシシの剥製が飾ってあったので、思わず写真を撮ってきました。
かわいそうに仰向けにされ、股間にナイフが突き刺さっています。



洋服専門店


IWA には、洋服専門のブースのみが集まる場所があります。
サイズさえ合えば、その場でお買い物も出来ますので、時間さえあればゆっくりショッピングを楽しんでみたいものです。



休憩所


広い会場を歩き回ると、足がパンパンに張り疲れます。
そんな時は休憩所で一休みできればいいのですが、いっつも満杯で座ることすら出来ません。


夕暮れ時のニュルンベルクの旧市街地を、少しだけ散策してきましたので、記念に写真を撮ってきました。


ロレンツ教会


いつ見ても壮大な教会で、圧倒されます。



ロレンツ広場のマーケット


暗くなってもまだ、マーケットが開いています。
中央広場まで行くと、もっとたくさんのマーケットが立ち並んでいます。
ニュルンベルクのマーケットは、クリスマスマーケットが世界的に有名です。



ニュルンベルク城


写真の中央に、小さく塔が見えます。これがニュルンベルク城の塔です。
ニュルンベルクを観光するならやはり、この塔に登らないと意味がないと思います。
私はまだ、一度も塔に登ったことがありませんが …



ケーニヒス門


ケーニヒ通りわきの旧市街地(城壁内)側から、ケーニヒス門の写真を撮りました。
戦時中はこの通りを、お城に向かってあの軍隊も行進したらしいです。


さてそろそろ IWA2008 の新製品紹介も、これで終了させていただきます。


来年の予定


来年の IWA2009 は、写真の日程で行われます。

どうも有難うございました。





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