#094 ('09/06/04)

新入社員の小手調べ

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当店も迫様以来、 6 年ぶりですか?
5 月より久々に、社員が入社しましたので、ご紹介をさせて頂きます。

新入社員の塚田君は以前、私が愛用していた工具屋さんに勤務しておりました。
私もよく、簡単に回せない場所にあるネジの相談などを持ち掛けて、いつも助けて貰っていました。
それほど信頼していたので、きっと彼は修理が得意だろうと勝手に思い込み、期待をしております。

迫君などは、ネジ一本を回すのも嫌い、なかなか修理を手伝ってくれません。
したがって年末年始のシーズンオフなどは、お預かりした修理銃をお客様にお返しするまで、一ヶ月も掛かる事が頻繁にあります。
また試合直前の急ぎの修理等にも、なかなか対応が出来ない事などもしばしばありました。

塚田君にとりあえず、簡単な修理や中古品の整備などを手伝って貰えれば?と思い、少しずつ指導を行って行きたいと思います。

でもちょっとした笑い話があります。
入社早々に以前、彼の薦めで購入した工具を、彼に使わせてみたところ、上手に使いこなせなかったのです …
まぁ、すぐ隣で見ていたからきっと、緊張していたのでしょう。

さて、彼の指先はどのくらい器用か?小手調べに、ずっと店の片隅に埋もれていた、錆と埃にまみれた旧型のアンシュッツ、インターナショナル・リアサイトの分解掃除を頼んでみました。


錆、埃まみれのインターナショナル・リアサイト


こんなリアサイトは普通の人なら、見るのも触るのも嫌ですよね。
でもここまで薄汚れたリアサイトを一体どこまできれいに出来るのか?を、実践させて行きたいと思います。


分解されたインターナショナル・リアサイト


先ずは、リアサイトをバラバラに分解させます。
分解するのも、機械の構造をある程度は理解していないと出来ませんので、とりあえずは合格です。

後は埃を取り除き、全ての部品の錆を取り、丁寧に磨き上げて行きます。

可動部にモリブデングリースを注油して、仮組を行います。


インターナショナル・リアサイトの最終チェック


最終行程はマイクロゲージを使い、正常に作動しているか?チェックを行います。
仮り組ではクリックの遊びがあるので、ネジの締め付けの力加減でクリック調整を行い、遊びが出ないよう微調整して行きます。
特に注意する点は、例えばクリックを時計回りに動かして行き、逆回転の反時計回りに回転させた場合、ほとんどのリアサイトは約 1 クリック分程度の、遊びが生じます。
この遊びを微調整で、限り無く少なくして行くのです。
この遊びを微調整できるのは、インターナショナル・リアサイトの最大の特徴です。


オーバーホールが終わったインターナショナル・リアサイト


微調整もほぼ完璧に終わり、ようやくインターナショナル・リアサイトも本来の姿に戻りました。

あの錆だらけだったリアサイトを、ここまできれいに磨き上げる事が出来たのは、頑丈な鉄で作り上げられたインターナショナル・リアサイトだったからです。
現在のリアサイトは、フレーム部にアルミを用いた物がほとんどです。
アルミ部分は、メッキ処理されていますので余程の事がない限り錆びる事はありませんが、床に落としたり衝撃を与えたりして出来たガタなどは、調整し直す事が出来ません。
またアルミダイキャスト製ですと、フレームが破損してしまう事さえあります。
インターナショナル・リアサイトも今となっては古くさく感じると思いますが、整備さえ行えばまだまだ現役で使えるリアサイトです。
皆様な机の引き出しや工具箱の奥に、まだ眠っているインターナショナル・リアサイトをお持ちの方も、たくさんいらっしゃる事と思います。
埃を取り除き、注油するだけでもまだまだ、十分に使えると思います。
このコラムをご覧になって、古い射撃用具を見直すキッカケになって頂ければ、幸いです。

新入社員の塚田ともども、これからも銀座銃砲店を宜しくお願い申し上げます。





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