#096 ('10/04/20)

IWA 2010 報告 新製品紹介 前編

写真をクリックすると、拡大写真がご覧になれます。

今年のヨーロッパは大寒波に見舞われ、その余波がドイツにもまだ残っており、寒い日が続いておりました。
IWAの期間中も、殆んど晴れ間を見ることなく、時おり小雪が降る日が続いておりました。

今年は携帯電話とデジタルカメラを新機種に買い換えたため、写真がちゃんと撮れているか不安はありますが、お付き合いいただければ?と思います。
携帯電話で撮影したIWA速報は、なんとかうまく撮影できていたようで安心しましたが、ろくにデジタルカメラの取扱説明書を読まずに出発したので、今までのように瞬時に写真撮影をする事が出来ないケースもあり、例年より写真が少ないかと思いますがご了承下さい。
今回のIWAで、デジタルカメラの使用方法をだいぶ勉強できましたので、来年こそはもっとよい写真が撮れるのではないか?と思います。

リーマンショックの影響もあると思いますが、何処のメーカーでもあまり景気の良い話は聞きませんでした。
IWAの会場内も、土日こそは人が多かったのにも関わらず、とくに最終日は閑散としていました。
会場内のレストランに入ると、すぐにわかります。
お昼時になるとゆっくり座れる席すらないのに、ここ数年はメッセのレストランに入って、すぐに空き席を見つけることが出来ます。レストランはちょっとした食事でも、すぐに10ユーロ以上掛かってしまうので皆さん、軽い軽食で済ませているみたいです。
いつもなら皆さん、昼間からビールをのみ談笑しているのですが、そのビール代も節約しているから席が空くのも早いのでは?と思います。
我が国でも、昨年末に強化された新銃刀法の影響で、日本の銃砲業界も厳しい状況に置かれております。
またアメリカでも、昨年から続くアメリカ国内での品不足の混乱も、まだまだ状況が好転しないようです。
世界的に銃砲業界が不況のようですが、これからも頑張って行きたいと思います。

しかしこの不景気の中であっても、ブースによってはいつも人だかりが出来ていて、なかなか近寄り難いブースもあります。
それだけ良い製品や新製品を、出品しているのでしょう。
逆に新製品も無いブース等は一目瞭然で、人も集まっていませんでした。

前置きが長くなりましたが、そろそろIWAの本題に入りたいと思います。
今年もまた前編は、標的射撃専用の商品を中心に、お伝えさせて頂きたいと思います。



【ルアグ・アモテック】
IWA会場のあるニュルンベルクに程近い場所にあるルアグ・アモテック(旧RWS)社は、さすがお膝元だけあって毎年、大きなブースで出店をしております。
今年は冬季オリンピックイヤーでした。と言うことは世界選手権大会の開かれる年であります。
今回の世界選手権の会場は、IWA会場のニュルンベルクと同じバイエルン州にある州都、ミュンヘンになります。
噂によるとミュンヘンの射撃場にはビアホールが併設されていて、射撃後にビールが飲めるらしいのです。
この話が本当なら、羨ましい限りです。

そんな世界選手権をミュンヘンで迎えるにあたり、ルアグ・アモテック社ではDSB(ドイツ射撃協会公認)の期間限定、記念商品を販売することになったそうです。
そのブランド名は「チャンピオンシップ・エディッション」で、エア・ライフル弾とスモールボア・ライフル弾が用意されています。


チャンピオンシップ・エディッション


品質のカテゴリーで言うと、エア・ライフル弾のR-10やスモールボア・ライフル弾のR-50等の最高級品よりは、ランクが落ちるそうですが、同社のスペシャルラインで製造しているそうなので「精度には満足できるでしょう」との事でした。
安くてそれなりの精度があれば、我々も十分満足できると思います。
2010年6月からたった4ヶ月間だけの限定販売品なので、当店ではスモールボア・ライフル弾のみの輸入を考えております。その4ヶ月間に合わせ、うまく輸入できれば良いのですが。
限定販売品なので、パッケージコレクターにはたまらない商品になると思います。



【セントラ&MEC】
セントラ社とMEC社は別会社なのですが、一昨年からカタログを共同で出しておりますので、一括りで紹介させて頂きます。
今年も細々と、見ただけでは理解できないような新製品が、いくつか発表されていましたが、気になった商品だけを選んで、ご紹介をさせて頂きます。

・PEAK(ピーク)
みなさん「何これ?」と思われると思いますが、使い方はいたって簡単です。
エイミングに入る前に、ある程度のキャリアを積んだ射手の方なら、フロントサイトと標的の位置関係を確認してから、エイミングに入るのでは?と思います。
そんな時に手助けをしてくれるのが、このPEAKです。


PEAK


上の突起物に標的を合わせることで、エイミングに入る前のポジション(姿勢等)を確認する事が出来ます。

・Vibrake ”Extent” (フィブレーク“エクステント”)
当店ではアクションスタビライザーの名称で販売をしていますが、アクションスタビライザーの前方が、ただ単に長くなった物です。


Vibrake ”Extent”


ドイツでのマスターズ射撃はオンレストという、シューティングスタンドの上に銃を置いて撃つ射撃競技が一般的でしたが、ようやく日本向けのマスターズ゙商品が開発販売されました。
ライフルスコープを取り付けに、非常に便利なアイテムです。
ドイツのマスターズ射撃も日本と同様に、ライフルスコープが主流になって行くのでしょうか?

・Barrel-Tuner ”Starik Tube”(バレルチューナー“スタリク チューブ゙”)
Starik とは、開発者の名前のようですね。


Barrel-Tuner ”Starik Tube”


スモールボア・ライフルの銃口部に取り付ける、エクステンションチューブです。
チューブ部のウェイトを前後させる事により、発射時に発生するバレルのバイブレーションの波を、変化させることが出来ます。
変化させる事により、グルーピングをより小さくさせる事が可能です。
ただしセッティングを間違えると、グルーピングが逆に大きくなったりする可能性もあります。
セッティングテストを行うだけでも、かなりの手間がかかり、弾と時間を消費するはずです。
また弾の種類やロッド番号が変わるだけでも、セッティングのし直しになるのでは?と思います。
このセッティングを完璧に行う事ができれば、最高のグルーピングを得る事ができる、とても楽しめる商品だと思います。

一部のベンチレストシューターの間では、スモールボア・ライフルでベンチレスト競技を行う際に、このStarik Tubeの原理に似たダラチューナーという物を使用している方がいらっしゃいます。
ベンチレスト射撃の世界では、既に認識されている構造と思っていただいて、間違いないでしょう。

・MEC SPINDLE (スピンドル)
同弾判定用のゲージです。


SPINDLE


同弾と思われる弾痕に差し込んで、どこまでゲージが刺さるかで同弾を判断するゲージです。
スモールボア・ライフル用及びピストル用の32口径及び38口径用しか無いのが残念ですが、もしかしたらセンターファイヤー・ライフルにも使えるかも知れません。
もしセンターファイヤー・ライフルでも使えるなら、大口径の試合(10発撃ち込み)で、標的外を撃ってしまったのにもかかわらず「同弾です!」などと申告するインチキは、出来なくなってしまうかも…(笑)

・MEC PEACH BALL (ピーチボール)
最初はてっきり、左手で保持する為の古典的なパームボールだと思いました。
しかしこれは、なんとMEC Mark-1ストック用のグリップだそうです。


PEACH BALL


MEC Mark-1ストックにはそのまま取り付け可能ですがファインベルクバウM700やアンシュッツ、そしてワルサーのアルミストックにアダプターを用意すれば、取り付けが可能だそうです。
私ならパームボールとして、使うかな?



【ahg アンシュッツ】
もうご存知と思いますが、あのアンシュッツファミリーの会社です。
ちょっと面白い商品が出ておりましたので、ご紹介させて頂きます。

・トリガーシュー 9718


トリガーシュー 9718


商品説明を聞くと、「アンシュッツのトリガーは遊びのある2ステージトリガーだと、トリガーが落ちる反応が遅いし、シアーの耐久性も落ちる」との事でした。
したがってトップクラスの選手の間では、遊びのないダイレクトトリガー(シングルステージトリガー)にして射撃を行っている選手が多いそうです。
そこでこのトリガーシューは、トリガー本体はダイレクトトリガーセッティングを行い、トリガーシュー本体に1段目の遊びを作り、2ステージトリガーにするという物で、2ステージトリガーを好むシューターの為に作られた商品になります。
ただしこのトリガーシューは、1段目の遊びの動きと連動し、シアーが動くタイプのトリガーのみに有効です。
例えば、ファインベルクバウM602〜M700は、1段目の遊びの動きとシアーが連動しません。



【オイ ティーマ・リーネ】
IWAでの土曜日の夜は毎年、大変お世話になっているクルト・チューネ氏の会社です。
ISSFのルールが「伏射競技時に、パンツは射撃専用パンツまたは、トレーニングウェアのみ着用のみOKとなり、ジーンズなどのスポーツ向きでないパンツは着用不可となりました」と報告を受けました。
そこで新しいデザインのパンツを開発したそうです。

・PANTS PRONE-LIGHT


PANTS PRONE-LIGHT


デニム生地のような柔らかい素材に、射撃専用パンツのパッドとファスナーを付け、見た目は普通の射撃専用パンツと変わりません。
既製サイズのみの販売。
ベルトと通しの輪が細くなっていませんが、このままでルールに適応するのでしょうか?



【ステイヤー・スポートワッフェン】
・LP-10&LP-10E コンパクト


LP-10 コンパクト


LP-10とLP-10Eにコンパクトモデルが追加されました。
ちょっとシルエットはあまり褒められたものではありませんが、あくまでもジュニア向けの商品と思ってください。
最近、当店ではショートシリンダーを購入し、通常のモデルにショートシリンダーを取り付け、軽い銃として使用する年配の選手や女性選手が、増えております。

・LG-110 ランニング・ターゲット
LG-100の頃に存在したランニング・ターゲット用エア・ライフルが、LG-110になって久々に復刻しました。


LG-110 ランニング・ターゲット


LG-100だった頃のステイヤーはステイヤー・マンリヒャー社で、軍用銃やハンティング・ライフルを製造しているメーカーでした。
しかし空気銃部門のみが独立し、ステイヤー・スポートワッフェン社になったのです。
バレルケーシングに”STEYER SPORTWAFFEN”と刻印されているエア・ピストルをお持ちの方は、気が付いている方が多いと思いますが、ステイヤー・スポートワッフェン社の銃のグリップを外すと、フレームには小さく”ANSCHUTZ”と刻印が刻まれております。
すなわちステイヤー・スポートワッフェン社は、アンシュッツ社からの部品供給などを受けているのです。
特に気になる銃身は、以前はステイヤー・マンリヒャー社製でしたが、ステイヤー・スポートワッフェン社になってからは、アンシュッツ社製の物に替わっております。

さて皆さん、LG-110 ランニング・ターゲットの写真を見て、何か気が付きませんか?
良く見ていただければお気付きになられると思いますが、コッキングレバーがありません。
実はこの写真の銃のコッキングレバーは、左側面に付いているのです。
今までのLG-110シリーズのアクションは、右射手用しか存在しませんでしたが、左射手用に左側面にコッキングレバーを取り付けられるよう、デザイン変更されました。



【グリュニッヒ&エルミゲール】
グリュンネルの愛称で古くから親しまれている、スイスのセンターファイヤー・ライフルの競技用銃専門の銃器メーカーです。
今回のIWA2010の一番の目玉は、グリュンネルから発表された新型スモールボア・ライフルの“Racer Liner”だと思います。


“Racer Liner”


どうしても「どこかで見たことがあるな?」としか思えない点もありますが、後発機種として洗練されていることを願いたいと思います。

順不同で、特徴を箇条書きにします。
・ボルトハンドルは50度開閉
・ボルトのロッキングラグは、ボルトヘッド部に3枚
・ファイアリングピンは、薬室に入った薬莢の下側を叩く
・発射後の薬莢を排出するエジェクター付き
・腕が短い人のために、機関部上部から実包を装填可能
・バレルは機関部にねじ込み式で、5個のOリングを入れることにより、発射時のバレルのバイブレーションを防ぐ
・バレルメーカーは米国のリルジャ社を使用しているため、銃身長は66cm
   ※リルジャ社は66cm以上の長い銃身は、作成しません
・機関部はスペシャルコーティングをかけているので、錆びやキズに強い
・トリガーはアンシュッツ9003に採用されている、最新式の5065トリガーシステムに手を加えて採用
・銃身長が66cmと短いため、バレル・エクステンション゙は標準装備

さて気になる出荷時期は、今のところ2010年10月頃の出荷予定です。
写真を何枚か撮影してきましたので、グリュンネル社のホームページにも掲載されていない画像を、ご覧下さい。


機関部アップ



ボルト



分解された機関部




【ファインベルクバウ】
そろそろ新製品が出そうな頃かな?と思いながら、今年もまた新製品がありませんでした。
ファインベルクバウ社では一時期、生産を中止したM700のベーシックモデルやジュニアを復刻させました。


M700ベーシック


やはり世界的に景気が悪いのでしょう、安いモデルに人気が集まるようです。
写真の右端でTV局が、撮影していたのがとっても気になりました。



【マンネル】
マンネル社はまだまだ新しい会社ですが、ブースを覗くといつも忙しそうなメーカーで、常にお客さんがブース内におりました。

・CIROグリップ
マンネル社といえば、ピストルシューターの間で好評な、ステイヤー LP-10用のCIROグリップを思い浮かべる方が多いと思います。
更に今年はステイヤー LP-10EのCIROグリップも、発売開始されましたので、今後も楽しみです。


CIROグリップ


・ASBライフル
昨年のIWA報告でも紹介した新型スモールボア・ライフル“ASB”が、ようやく販売開始になりました。


ASBライフル


銃身はフルーテッドバレルで、銃身長は74cmと非常に長く出来ています。
これだけ長いと、バランス的にどうかな?と疑問を抱きますが、非常にコンパクトで短い機関部のため十分にバランスを保つことが出来ます。
このASBライフルのアルミストックは、マンネル社のライフルだけでなくファインベルクバウ、アンシュッツ、ワルサーそしてブライカー用のアルミストックも用意されていて、ストックのみの販売も可能になります。

・サイトコントローラー
サイトコントローラーという、リアサイトの動きをチェックするための工具が、販売されていました。


サイトコントローラー


今まであったダイアルゲージですと、バイス(万力)等の大掛かりな工具がないと、なかなかリアサイトのチェックを行うことが出来ませんでした。
しかしこのサイトコントローラーがあれば、どなたでも簡単にリアサイトの動きをチェックする事ができる、とても便利な工具です。
工具箱の中に、必ず入れて置きたい一品になることでしょう。

・アブソーバー
アブソーバーという名前のバランスウェイトも、新しく販売されました。


アブソーバー


このバランスウェイトは、チューブの中央部にウェイトが入っていて、そのウェイトが前後からスプリングで押さえ付けられています。
この前後のスプリングの張力を、ネジを回すことによりご自身の好みの反動に合わせ、微調整する事が出来るそうです。
このアイデアは、素晴らしいと思います。

後編に続く





K

 
2003-2005 (C) GINZA GUN LIMITED. ALL Rights Reserved.