#078 ('07/04/05)

ステイヤー・スポーツワッフェン社 訪問記

写真をクリックすると、拡大写真がご覧になれます。

あわただしく過ぎ去った IWA の最終日は、午前中で早々に会場を後にして、つかの間のドライブです。
いつもなら電車で移動をするのですが、今年はひょんな事から車に同乗させていただきました。
ニュルンベルクからアウトバーンに乗り、一気に東へ約 400 km向かいます。
では何処に向かうのかと言うと、このコラムの題名を見ていただければ解りますよね。
そうです、オーストリアにあるステイヤー・スポーツワッフェン社に向かいます。
オーストリアは、スイスのブッチュビルにあるブライカー社を訪問する際に、一度だけ電車で通過したことがあります。
でも、ちゃんとオーストリアの地に足を着けるのは、今回がまったく初めてなので、行く前からちょっとワクワクしておりました。

ステイヤーと言えば、オーストリアの工業都市で有名ですが、ステイヤー・スポーツワッフェン社は昨年末に工場を移転し、ステイヤーからはちょっと離れた街に移りました。
現在のステイヤー・スポーツワッフェン社は、セントバレンタインというとても洒落た名前の街の近く、エルンストホーフェンという長閑な町にあります。
セントバレンタインの駅からは、車で 5 分程度のところです。

ちょっと話がそれますが、ステイヤー・スポーツワッフェン社の社名をドイツ語で発音すると「シュタイア・シュポルトバッフェン」になります。ついでにワルサーは「バルター」と発音をします。
この発音の違いを覚えておかないと、ドイツ人が何を言っているのかさっぱり理解出来ない事もあります。
私もドイツ人に「バルター」と言われ、まったくチンプンカンプンだった事があります。

ニュルンベルクからアウトバーンに乗りしばらく走ると、アウトバーンはドナウ川に沿って並走し、パッサウやリンツなどの観光地を通り過ぎながらの、なかなか眺めのいいルートでした。
ドナウ川と言えば、アンシュッツやワルサーのある街ウルムも、ドナウ川を中心に発展した工業都市です。
私はこのウルムを流れるドナウ川と、ウルムから西に向かいファインベルクバウのある街、オベルンドルフへ向かう途中の乗り換駅、トゥットッリンゲンやドナウエッシンゲンまでの、源流に近い川幅の狭いドナウ川しか、見たことがありませんでした。
オーストリアに入ると川幅も一気に広がり「これがあのドナウと同じ川なのか?」と疑問に思えるくらい様相が変わってきます。
源流に近いドナウ川はちょうど IWA の時期、雪解け水で川の水も濁り、河岸工事をされていないドナウ川は至るところで氾濫し、荒々しい流れをしていますが、下流に向かい川幅も広くなってくると、雄大な流れで堂々とした姿になりました。
もっと下流の首都ウィーンやハンガリーのブタペストまで行くと、更にもっと雄大なドナウ川を見ることが出来るのでしょう。

アウトバーンに乗ってしばらく走ると、道路標識が出てきます。
その標識にはチェコのピルゼンやプラハ、オーストリアのザルツブルグやインスブルック、そしてウィーンなど、誰でも知っている様な有名な地名が、どんどん出てきます。
島国に住んでいる私たち日本人には、考えられないような光景です。
やっぱりヨーロッパでは、すべての道がローマに続くと言うのが納得できました。


道路標識


私にとって海外では、初めてのサービスエリアでのお食事です。
インビスみたいなセルフサービスでした。
色々なメニューがあるけれど、日本みたいにメニューに写真が載っているところなんて、まったくないんです。だから簡単な言葉で通じるパスタを注文しました。


サービスエリアのレストラン


余談ですが、メニューに写真が載っていないのは、普通のレストランでも一緒です。皆さんも食事に困らないよう、ドイツへお出かけの際は、食事の種類くらいの簡単なドイツ語を覚えておきましょう。
ちなみに英語メニューを置いてあるレストランも多いのですが、英語メニューは料金の高い料理しか載せていないレストランが多いみたいです。


サービスエリアのパーキング


ドイツのサービスエリアのパスタは、日本のサービスエリアのソバやうどんみたいに、凍ったパスタを熱湯に浸け、さっと炒めて出来上がり。この間、ほんの 3 分くらいでした。
日本では普通盛りか大盛りしかないのですが、あちらでは大、中、小と三つのサイズがお好みによって選べるのが良かったですね。
私は大盛りを頼むと食べきれないと思い、中を注文しましたがあまり量が多くなかったので、プレッツェルを一つ追加で注文しました。

食事を終えてちょっとトイレに入ると、入り口におじさんが立っています。
このおじさんは何かと言うと、トイレのお掃除係り兼チップの徴収人なのです。
チップの風習の無い日本人にとって、チップと言ったら心付けだと思うんですが、どうやらサービスエリアのトイレでは、定額料金があるようです。
本当に細かい小銭があれば、適当にお皿の中に投げ込んでいたんですが、 1 ユーロ硬貨しかなかったのでおじさんに「 Was kostet das ?(いくら?)」とドイツ語で聞くと、英語で「 50 」と返事が返って来ました。
1 ユーロ硬貨を差し出すと、ちゃんと 50 ユーロセントのお釣りをくれました。

アウトバーンのサービスエリアで働いている清掃員は、日本で言う道路公団のスタッフではないそうです。
実は《トイレットマフィア》と呼ばれる、無償でサービスエリアに人材を派遣して清掃をさせているマフィアたちが管理していて、彼らはそのマフィアが囲っている派遣従業員たちだそうです。
そして派遣された人材の収入源となる、この少ないチップのあがりを、マフィアがかすめ取って行くそうです。
この話は、私も人から聞いた話なので、本当だか嘘だかは、私にもわかりません。
ただ、海外旅行の際はサービスエリアのトイレには、 50 ユーロセントのチップが必要だと言う事を覚えておいてください。
そうです、電車の駅でもチップの必要なトイレは多いです。
ちなみに電車の中のトイレは、チップの必要がありませんので、私はいつも電車の中で用を足します。

いよいよ国境を越えて、オーストリアに入ります。


ドイツとオーストリアの国境


オーストリアに入ると、走っている車のナンバープレートにはオーストリアナンバーはもちろんですが、ハンガリーナンバーの車が多くなってきます。
そこでちょっと見なれた看板を発見しました。


見慣れた看板


私も港北店には、何度か行ったことがありますが、大きな店舗で大きな駐車場があって大きな倉庫があって。
装いは世界共通なんでしょうか。
ヨーロッパの家は広い家が多いです。家具もそれに合わせて日本で販売している物より大型の家具が多いのでしょうね。

セントバレンタインのインターを降りて、すぐにトヨタのディーラーがありました。
そこで道を確認して、再出発です。


セントバレンタインの街並み


帰国後、グーグルマップで確認をした所、セントバレンタインに向かう通りはステイヤーの街に向かう道なのか、シャタイアラーシュトラーセでした。
残念ながらこのグーグルマップでは、航空写真は見れません。
都会なら人影までも見えるくらいの、鮮明な写真が出るんですがね。
http://local.google.co.jp/?ie=UTF8&z=14&ll=48.144613,14.495516&spn=0.041808,0.079823&om=1

日産のディーラーの近くに、何とか宿泊先のガストホフ(旅館)を見つけて、ようやく宿に到着しました。


ガストホフ


もう日が沈みかけていましたので、ニュルンベルクからの道のりは 4 時間くらいでしょうか?思ったより近かった様に思ったのは、私だけでしょうか。

到着後、しばらく部屋でくつろいでいると、部屋の外がガサガサと物音がして、何かの鳴き声も聞こえます。
ベランダに出てみると、 10 頭くらいの鹿の群れです。私は安いコンパクトカメラしか持っていないので何枚も何枚も、モードや露出、倍率を変えてシャッターを押してみました。


裏山に出没した鹿


何とか写真に写りました。 6 頭ほどの白いお尻が確認できます。その後数分後に、左の方向の民家の方へ走り去って行きました。
毎夕、この時間に鹿が宿の裏山に出没するようで、翌日の夕方も鹿を見ることが出来ました。

写真は撮らなかったのですが、この日の夕食はステイヤー・スポーツワッフェンのセールスマネージャーとその秘書に食事を誘われており、近くのドナウ川の支流沿いにあるレストランにご招待を頂きました。
この地域は、オーストリアでも有名な白ワインの産地と聞き、早速試飲をしてみました。
ニュルンベルクのフランケンワインに劣らず、なかなか美味しいワインです。
料理の味も、ドイツより日本人の口に合ったかも知れません。


そうとう前置きが長くなってしまいました。
このコラムを読んでいる皆さんは「お前ら何しに、ステイヤーまで行ってきたんだ」と、お怒りの方も多いと思います。
それではそろそろ、何しに行ってきたのか?を、ご報告させていただきます。

当店でも、そろそろ本腰を入れて販売を開始する、ハイパワーエアーライフルの LG − 110 HP と、ついでにエアーピストルの LP − 10 のメンテナンスについてのレクチャーを受けてきました。


LG − 110 HP


では何故、わざわざステイヤーの工場まで行ったのか?と言うと、圧縮空気式(プレチャージ)の空気銃は、非常に繊細なため修理方法が解らないと、銃を壊してしまう可能性があるからなのです。
圧縮空気式をいち早く採用した、競技用空気銃メーカーのファインベルクバウでさえ、頻繁に調子を崩す事例が数多くあります。
徐々に弾速が上昇したり、急激に弾速が落ちたり、いきなり弾が出なくなったりと様々な症状が、使いっぱなしだと必ずトラブルが起きてしまうものなのです。

当店でステイヤー社のハイパワーエアーライフルを販売し始めた時も、お客様から「ステイヤーは壊れませんか?」との質問が、非常に多く寄せられました。
当店では「圧縮空気式の銃は、 200 気圧もの圧力をパッキンとスプリングだけで、エアーが漏れないよう抑えています。パッキンが劣化したりスプリングがヘタっただけで、必ずトラブルが起きます」と伝えてきました。

また一番の問題は、この 200 気圧の空気をいかに毎回安定させて減圧できるかが、命中精度にも一番影響してくる問題なのです。
パッキンやスプリングを交換するだけなら、誰でも出来ます。いかに上手く減圧させるかが、一番の問題点なのです。
しかし、この部分の修理をメーカーに問い合わせると、必ず「減圧装置を送り返せ」しか言いません。送り返していると、修理に何ヶ月もかかってしまうのが現状です。
やっぱり調子がおかしくなったら、すぐに修理をして欲しいと言うのがシューターの希望でもあると思います。
そんな訳で、事前にステイヤー社へ「どの様な修理内容を知りたいのか」といった質問状を送り、レクチャーを受けてきた次第です。

朝の 9 時にステイヤー社の工場に集合です。
到着後、さっそくレクチャーの始まりです。


ステイヤー・スポーツワッフェン社


先に送っておいた質問状を元に、質疑応答が行われました。
この質問状もメーカー側は「なぜ、ここまで必要なのか?」と、思わせるくらい事細かに書いておいたので、ガンスミスもそれなりに準備をしていてくれていた様です。
やっぱりメールでのやり取りと、現地まで行くというのは全く対応が違います。
「この部分は一般には非公開だが、信用して特別にお教えいたします」という点が、何ヶ所かありました。

昼食後は、工場の中に入って分解、組み立て、調整方法を教えてもらいます。
さすがに工場の内部や、組み立て方法は機密事項が多いので写真を撮ったり、内容を書いたり出来ませんが、ちょっとだけ許可をもらい写真を撮影させて頂きました。

LP − 10 のトリガーメカニズムを教えて頂く時は、カットモデルを使い丁寧に教えてもらいました。


LP − 10 のトリガーメカニズム


構造はいたって単純なのですが、分解・組立て時の手順を1つでも間違えてしまうと先に進めず、完全にお手上げになってしまうのです。
コラム「 IWA2007 新製品紹介編」前編でもお知らせしたとおり、新型の競技用エアーライフルとエアーピストルには、トリガーメカニズムにボールベアリングシステムを導入しました。
このボールベアリングをトリガーユニットに組み込む事で、常に安定した引き味を持続できる他、トリガーブレードのガタつきを少なくする事が出来たそうです。
これが思いのほか、世界中のディーラーからの評価が高かったそうです。
ガンスミスもこの件に関しては、自慢げに語っておりました。

O リングを交換する際、取り外しは簡単ですが、組み込みには細心の注意が必要になってきます。
たかが O リングの挿入でも、十分な注意を払わないと O リングに傷を付けてしまいます。キズを付けてしまうと、せっかく新しい O リングに交換をしても、そのキズが 200 気圧の空気圧に耐えられず、キズの部分からエアー漏れを起こしてしまいます。


O リングの挿入


LG − 110 HP の難しい部分は、基本的に LP − 10 とほぼ同じ構造なので、レクチャーもスムーズに進んで行きます。
組み立て後、最後に 50m の射撃場で試射をして終了です。


LG − 110 HP の試射


銃身の表面が銀色なので、よくお客様からは「これはステンレスバレルなの?」と、聞かれる事があります。
ガンスミスに聞いてみると、銃身の表面はニッケルメッキだそうです。
ちなみにファインベルクバウ社の銃身の表面には、クロームメッキが施されています。
ニッケルメッキは、クロームメッキより表面硬度が落ちますが、何よりメッキをかける時に出る廃液は、毒性が少なく環境にもやさしいそうです。

実は今回のレクチャーの間、ステイヤー社のセールスマネージャーも一緒に、ずっと私たちと講義を受けていました。
このセールスマネージャーは、まだステイヤー・スポーツワッフェン社に入社して、2年未満の若い社員です。
ずっと営業しか行っていなかったので、今回は「自分もメカニズムを、知っておかないといけない」という理由で、私たちと一緒になってガンスミスへ、疑問点を質問しておりました。


試射をするセールスマネージャー


セールスマネージャーは昨夜の夕食から、ずっと私たちに同行してくれておりました。
本当に有難うございました。


ステイヤー社のガンスミスから、ハイパワーエアーライフルについて、いくつか非常に興味深い話を聞かせて貰ったので、ご紹介させて頂きます。

【全体的なオーバーホール】
3 年に一回くらいを目安に「分解掃除を行って下さい!」との事でした。
銃を分解して細かな部品まで見ていくと、どうしても数多く修理を行っているファインベルクバウと見比べてしまいます。
見比べると、部品の一つずつがファインベルクバウの物より、ステイヤーの部品の方が頑丈に思えました。逆に言えば部品の重量が、重いという事になります。
使っているパッキンもファインベルクバウ社の物と比べると、耐久性がありそうでした。
だからオーバーホールは、 3 年に一回でいいのでしょう。
ファインベルクバウは私の経験上、最低でも 2 年に一回くらいのサイクルで、分解掃除を行った方が良いと思います。
当店からお客様へ、直接販売した新品の空気銃については、当店では有効期間が 2 年間の「無料オーバーホール券」を付けております。
したがって、ステイヤー社の銃も、ご購入後は必ず 2 年以内に、一回目のオーバーホールを出して下さい。

【銃身内のクリーニング】
4.5mm のエアーピストルやエアーライフルは、使う頻度によりますがサンデーシューターなら、年に 2 回から 3 回ほど掃除をすれば良いとの事です。
ナショナルチームシューターなら、月に 1 回から 2 回は行って下さい。
ただし、 LG − 110 のハイパワーモデルは 4.5mm の場合、もっと頻繁に銃身内のクリーニングを行う必要があるとの事です。
最低でも 500 発から 1000 発に 1 回は、必ず銃身内のクリーニングを行って下さいとの事でした。
特に注意を必要とするのは、 LG − 110 のハイパワーモデルの 5.5mm の場合です。
この 5.5mm の銃は、銃身内が汚れてしまうとあっという間に、当たらなくなってしまうそうです。
ですから 50 発から 100 発に一回は、クリーニングを行って下さい。

では、何故クリーニングが頻繁に必要になるのか?という理由です。
パワーのある銃ほど、ライフリングに柔らかい鉛のペレットの鉛カスがこびり付きます。したがって、銃身内のクリーニングを頻繁に行わないと、銃身内に溜まった鉛カスがペレットの通過に支障をきたし、その結果、当たらない銃になってしまうそうです。
鉛のカスが、銃身内のライフリングにたくさんこびり付き、鉛カスの除去に苦労する前に、必ず銃身内のクリーニングを行いましょう。

ガンスミスが言うには「クリーニングを行う基準は、命中精度が落ちてきた時」だそうです。
メーカーなどでは、マシンレストがあるので簡単に命中精度を確認する事が出来ますが、我々一般シューターでは、なかなかマシンレストを使って命中精度テストなどを行うことが出来ません。
頃合を見計らって、クリーニングを行うよう、常に心がけて頂ければと思います。

しかし、私にも経験があるのですが、クリーニングを行った直後の数発は、全く当たりません。
火薬を使ったライフル銃なら、最初の一発だけ大きく外れて、二発目からは真ん中に当たるなんて経験をしている人は多いと思います。
空気銃の場合は“当たり”が戻るまで、多いときは 10 発くらい弾を撃たないと、着弾点が安定しない場合がほとんどです。
この理由は、空気銃のペレットの表面には、ワックスが塗ってあるからです。
このワックスは、鉛の酸化を防ぐだけでなく、鉛のペレットが銃身内部を通過する際の、潤滑剤の役目も果たしています。ペレットを撃つだけで、銃身の内面に鉛が付着するのを防ぐ効果があります。
もし完璧なクリーニングを行ってしまうと、銃身内に塗布されていたこのワックスが、完全に根こそぎ拭き取られた状態になってしまいます。
銃身内のワックスを、完全に拭き取ってしまった後は、このワックスが銃身内に万遍なく塗布されるために、最低でも 10 発以上はペレットを発射して下さい。

10 発程度なら競技の場合は、試射で簡単に撃ててしまいます。
しかし LG − 110 HP の場合、猟期中であれば試射なんかしている場合ではありません。
したがって狩猟に行く直前のクリーニングは、極力避けた方がよいと思います。


ちなみにステイヤー社のガンスミスは、クリーニング用品に ahg 社のクリーニングキットを使用しておりました。
「これが一番だ!」と、自信を持って言っておりました。


ahg クリーニングキット


このクリーニングキットは、コットンを紐で引っ張るタイプです。
コットンの本数で、引っ張る圧力を調整できますので、どんな口径にも対応できます。
私も使い勝手が良いので、お客様にはこのクリーニングキットをオススメしています。

ahg クリーニングキットのメイト価格は¥ 3,100 −です。
スペアコットンのメイト価格は¥ 1,100 −です。
•  この価格は近日中に、値上げをする可能性があります。

現在は品切れ中ですが、まもなく入荷いたします。

【グリースアップ】
これは皆さんも、既にご存知の事と思います。
シリンダーの取り付け口や、装填口付近の O リングには汚れが付着しやすいので、定期的に汚れを拭き取り、シリコングリースを塗布する様に心がけましょう。
この時に塗布するシリコングリースは、ファインベルクバウ社が販売しているスペシャルグリースで十分だとの事です。


ファインベルクバウのスペシャルグリース


このスペシャルグリースはメイト価格で¥ 2,000 −です。
•  この価格は近日中に、値上げをする可能性があります。

絶対に避けて欲しいことは、射手が自分自身で銃を勝手に分解し、銃を油まみれにしてしまう事だそうです。
用途に適さない油を使うと、樹脂で出来た O リングの寿命を縮めてしまったり、可動部分の動きを阻害させてしまったり、油にホコリが溜まりそこから錆が発生してしまう危険性があります。
とにかく「 O リングのグリースアップと、鉄部への防錆油の注油以外は、行わないようにして下さい」との事でした。


【ペレット】
思わず「へーっ!」と、膝を叩きたくなる様なお話をお伺いさせていただきました。
ステイヤーのハイパワーエアーライフルは、テストターゲットを作る際に H & N 社のバラクーダやバラクーダマッチを使っています。
また、ハイパワーエアーライフルの世界では、この弾を使用しないと当たらないという事を、ハイパワーエアーライフルを使っていらっしゃる方なら既にご存知と思います。


H & N 社バラクーダマッチ


では「なぜバラクーダなの?」と言うと、パワーのある銃で軽いペレットを発射すると当たらないのは、もう常識になっていると思います。
この一番の原因は「弾が発射される瞬間の、銃身内の空気圧によってペレットが変形し、変形したままのペレットがそのまま銃口から弾が飛び出してしまうので、当たらなくなってしまうのは当然の事」だそうです。
バラクーダは、 H & N 社が出している中では一番重い弾で、これより軽い弾を使うと LG − 110 HP ではまったく当たらないとの事でした。
ステイヤー社では、銃を出荷する前に必ず行う、発射テストで 4.5mm には H & N 社のバラクーダもしくはバラクーダマッチ。
5.5mm はバラクーダとバラクーダマッチ以外に、チェコ製の安い弾を時々使っているそうです。このチェコ製の弾の重量は 1.1g です。グレインに直すと約 17gr になります。
この弾の重量の 1.1g ( 17gr )という重さが、 LG − 110 HP で使用する場合のギリギリ、ペレットを破損させずに撃ち出す事が出来るそうです。

そこで皆さん、ちょっと良く考えて下さい。

★ LG − 110 HP 4.5mm のハイパワーは 24 ジュール( 17.7ft/lb )です。
この銃で 0.69g ( 10.65gr )のバラクーダマッチより軽い弾を撃っても、当たらないんです。

★ LG − 110 HP 5.5mm のハイパワーは 40 ジュール( 29.5ft/lb )です。
この銃で 1.1g ( 16.97gr )のチェコ製の弾より、重量の軽い弾を撃っても、当たらないんです。
この 1.1g ( 16.97gr )は H & N 社で言うと、シルバーポイント相当の重量になります。


これ以上のパワーを持っているハイパワーエアーライフルで、これ以上のパワーを使ってバラクーダマッチを撃っても、バラクーダマッチが銃身内で破損して当たらなくなったとしても、まったく不思議ではありませんよね。
パワーのあり余るハイパワーエアーライフルが当たらない原因は、銃身の精度が悪かったのではなく、パワーがあり過ぎることによって、ペレットを変形させてしまう事が一番の原因だったそうです。
皆様もパワーを調整できる銃をお持ちでしたら、パワーを抑えて射撃を行ってみて下さい。もしかしたら、もっとよく当たるかも知れませんね。

しかし、ハンターの方たちは猟場で使う時、どうしてもパワーを落とせない場合があります。
その場合は、ペレットの変形を防ぐためにネピア社のパワーペレットルーブを、使ってみて下さい。


ネピア社パワーペレットルーブ


銃身内の抵抗が少なくなり、ペレットがスムーズに放出され、命中精度が落ちにくくなると思います。
ただし抵抗が少なくなる分、初速が多少落ちると思います。
ステイヤー社を訪問して、そしてガンスミスの話を聞いて、私は「どうしてネピア社のパワーペレットルーブを使うと当たる様になるのか?」の疑問が、ようやくその謎を解く事が出来ました。
ちなみにネピア社のパワーペレットルーブは、銃身内の表面にペレットルーブをコーティングする効果もあります。
鉛カスをライフリングに寄せ付けませんし、クリーニングを行うとペレットルーブのコーティングと一緒に、ライフリングの付着した鉛カスを簡単に、取り除く事が出来るそうです。
皆さんも是非トライして下さい。もっともっと、お持ちのハイパワーエアーライフルが当たるようになると思います。

このネピア社のパワーペレットルーブにつきましては、当店の射撃コラム# 042('05/04/30) を参考にして下さい。


ネピア社のパワーペレットルーブは、メイト価格で¥ 690 −にて販売をしております。
※ この価格は近日中に、値上げをする可能性があります。


いやー、 7 時間にも及ぶ長かったレクチャーもようやく終わり、安堵したせいかどっと疲れが出てきました。
「昼過ぎには終わるかな?」なんて考えていたのは、かなり浅はかでした。びっちり夕方の 5 時までかかりました。
きっとステイヤー社のスタッフも、私たちの事を「やっと奴らは帰ったか … 」なんて思っていたのでしょうね、きっと。
ステイヤー・スポーツワッフェンのスタッフの皆さま、本当に勉強になりました。
有難うございました。

そういえばステイヤー社の工場の裏は、今はやりのバイオエネルギー工場で、ここで作られた電力でステイヤー社の工場が稼働しているそうです。


バイオエネルギー工場


このバイオエネルギーは日本でも最近、何かと話題になっております。
ここでは燃料の素が山積みになっています。今の季節だから良いのですが、夏になったら悪臭が周辺に漂いそうですね。
あっ、でもこの周辺はすべて農地なので、そんなに気にならないかも知れません。


宿に戻るともう夕暮れです。
エルンストホーフェン上空は、航空機の航路なんでしょうか?ひっきりなしに飛行機が飛んで行きます。そして夕日に照らされた飛行機雲は、とってもきれいでした。


夕暮れ


みんなで 7 時に夕食の待ち合わせをしたので、それまで少し時間が空きました。
ちょっとだけ、エルンストホーフェンの住宅街をお散歩してみました。
散歩に出かけた理由は実は、夕べの食事をしたレストランの前を流れる、川を見たかったのです。
レストランの周りは何も無く、川にかかっている橋の街灯しかしか見えなかったからです。
しかし歩き回ると、エルンストホーフェンの駅にぶつかり、線路をどうやって越そうか歩き回っているうちに、そろそろ本格的に暗くなりはじめたので、帰り道に迷うといけないので、川はあきらめ宿に戻ることにしました。


エルンストホーフェン駅


エルンストホーフェンの街にある、唯一のダンスホールだそうです。


ダンスホール


いつになったらバスが来るのでしょうか?

バス停を発見しました。


バス停


のどかな住宅地です。
こんな場所で、老後を過ごせれば最高ですね。


エルンストホーフェンの住宅地


最後にエルンストホーフェンにもう一泊して、今回の IWA の打ち上げをしてお仕事が終わりました。
やっぱり最後の食事もビールと一緒です。
仕事を終えた後の一杯は、なんとも言えず五臓六腑に染み渡りました。


オーストリアのビール


ジッパーという、オーストリアの定番ビールらしいのですが、味も最高でした。
この丸いジョッキ、とっても愛嬌があります。ドイツでは見なかったデザインです。

帰国のため明朝、いよいよミュンヘン空港へと向かいます。
その途中のザルツブルグのサービスエリアで、眺めが良かったので写真を撮りました。


ザルツブルグの山と湖


ザルツブルグと言えばもう皆さん、ご存知ですよね。あのサウンドオブミュージックの舞台になった場所です。そしてモーツァルトの生まれ故郷でもあります。
本当にきれいな場所です。この景色を眺めながら芝生の上で昼寝でも出来たら、最高だなぁなんて思ったのは、私だけでしょうか。
あぁ、こんな場所で一ヶ月ほどバカンスを取りたい …



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